夏目漱石『こころ』解説|自由と孤独の時代をいかに生きていくか

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作品の背景

最初は数種の短編を合し『心』という標題をと考えられていたが、その短編の第一にあたる『先生の遺書』を書き込むうち長くなり、三個の姉妹編から組み立てられているので『先生と私』『両親と私』『先生と遺書』に区別して『心』という見出しを付けた。

この上中下は新聞小説という配慮もあった。広告文には“自己の心を捕まえんと欲するする人々に、人間の心を捕まえ得たる此作物を奨む”とある。漱石自身も自由と自己本位の個人主義であり、その結果、厭世的で淋しい人でもあった。道義を貫き、文学の言葉をひろげて明らかにしようとしたのであろう。

発表時期

1914年(大正3年) 4月から8月にわたって東京大坂両朝日新聞に『心 先生の遺書』として同時に連載され、同年9月に岩波書店より刊行。漱石は当時47歳。この作品は自費出版という形式だが岩波書店として最初の小説となった。漱石の後期3部作、『彼岸過迄』『行人』に続く、最後の作品である。日本で最も売れる文庫として700万部を越え、長く1位として愛されている。