サン=テグジュペリ『星の王子さま』あらすじ|大切なものは、目には見えないんだ。

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小惑星B612から来た星の王子さま。バラの花と喧嘩して見聞の旅にでる。6つの惑星を巡って地球に着いた王子さまは、砂漠に不時着したパイロットと友達になる。そして大切なものは心で見なくちゃいけないことを知り、星に帰っていく。子供から大人に贈るファンタジーな宝物。

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登場人物

飛行操縦士(僕)
パイロットで操縦士、飛行機の故障でサハラ砂漠に不時着し小さな王子と出会う。

小さな王子さま
小惑星B612から見聞の旅に出て地球にやってきた、バラと喧嘩をした王子様。

あらすじ

6歳の僕は絵が好きで、大蛇のボアがゾウを飲み込んだ絵を描いた。大人たちに見せて「この絵こわい?」と聞くと、ただの帽子じゃないかと言われた。帽子なんかじゃないので仕方なく、ゾウを消化しているボアの絵を中が見えるように描くと、大人たちから「そんな絵よりも地理や歴史や算数や文法をやりなさい」と言われた。

そういうわけで、画家と言う職業を目指すのを止めて、僕は飛行機の操縦士になった。以来、サハラ砂漠に飛行機が不時着するまで、心から話ができる人がいないまま一人で生きてきた。

僕はサハラ砂漠に不時着し、小さな王子様と知り合う。

不時着して、飲み水は1週間分だけ。その間に、飛行機のエンジンを直さなければならない。最初の晩、寝りについた僕は夜明けに小さな声に起こされた。

「おねがい・・・・ヒツジの絵を描いて・・・」

そこには、金髪でマントを着た不思議な小さな男の子が立っていた。

砂漠は人の住むところから1,000マイルも離れているので、男の子は迷子という感じでもない。僕はヒツジの絵は描いたことがないので、あの “中が見えない大蛇のボアの絵” を描いた。

すると男の子は「ちがうちがう!ボアに飲まれたゾウなんていらない、ヒツジの絵を描いて」という。

そこでいくつかのヒツジの絵を描いたけれど、「全部違う」と言うので、僕は箱に穴が空いた絵を描いて、「きみがほしがっているヒツジは、その中にいるよ」って言うと、男の子はこんなのが欲しかったという。こうして僕は小さな王子さまと知り合った。

バラと気まずくなった王子は、見聞の旅に出る。

僕がこの小さな王子さまのことで分かったことは、彼は惑星から来たこと、その惑星は、やっと一軒家くらいの小惑星のB612 だったこと、そして彼は友達を欲しがっていたこと。

それから、小さな王子さまは「バオバブ」と闘っていること。良い草と悪い草があり、バオバブの種は悪い草。小さいときに摘まないと大きくなると貫通して星を破裂してしまうこと。そして火山が3つあること、ひとつは休火山だ。

それから、小さな王子さまは「バラ」と喧嘩をして気まずくて逃げ出したこと。

どこからともなくやってきた種子が、芽を出し茎を伸ばしやがて花をつけた。この花はまばゆく美しく輝きながら出てくるために身づくろいをして、太陽の昇る時刻にバラの花として姿をあらわした。感動的に美しかったけれども、気むずかしく、見栄っぱりで、王子さまを苦しめた。バラの花は王子さまにわがままや嘘ばかり言った。

そうして王子さまは、愛のために何でもしてあげようと気持ちがあるのに、彼女のことを信じられなくなった。そしてどうやって愛していいか分からない王子さまは逃げ出した。別れの時、花は、本当は愛していて、私も愛し方が分からなかったと言った。

6つの惑星で変わった大人たちと出会い、地球に辿り着いた。

王子さまは見聞を広げようと、小惑星325.326.327.328.329.330の辺りやってきた。

1つ目の星は、権力ばかりを誇示して威張っている王様が住んでいた。

“何でも命令をしたがる王様の星”、王子があくびをするのも、しないのも許可を出す。権威が尊重されてそこで守られることを望み、服従しないものを許さない。でも善良なこの王は、道理にかなわぬことは命令はせぬという。そろそろ旅立ちたくなった王子は、王様に旅立つ命令を出すようにお願いして旅立った。王子は「大人って変わってるな」と思った。

2つ目の星には、うぬぼれ屋で人によく思われたい男が住んでいた。

うぬぼれ屋は、自分が他の人間から “この星でいちばんハンサムで、いちばん格好よくて、いちばん金持ちで、いちばん頭が良いと称賛されたい” と思っている。そして拍手をされると帽子を脱いで喜ぶ、王子は、面白がって拍手したけれどすぐ飽きてしまい去っていった。王子は「大人って全く変わっているな」と思った。

3つ目の星には、理由をつけて酒ばかり飲む怠けもの男が住んでいた。

暗い面持ちの酒びたりの男は、“忘れたくて” 酒を飲んでいるという。何を忘れたいのと聞くと、“恥じているのを忘れるため” と言い、何を恥じているのと聞くと、“酒を飲むことを恥じている” という。王子は憂鬱な気分になると同時に、とまどい去っていった。王子は「大人って決定的に変だ」と思った。

4つ目の星には、実業家でお金ばかり計算する男が住んでいた。

実業家は仕事中で “星の数ばかりを数えている”。5億162万731の星の持ち主で、数えた数字を紙に書いて銀行に預けておく。金持ちになると、他の星をまた買える。自分が星を見つけ管理することを考えたから自分が所有者だと主張する。王様は「大人ってやっぱり、まったくどうかしている」と素直にそう思った。

5つ目の星には、休みなく街灯を点灯させ忙殺される男が住んでいた。

これまでの星でいちばん小さい。街灯がひとつ火を灯すときに、星がひとつ生まれることは意味があるけれど、惑星の自転が早くなり一分ごとに一回転で点けたり消したり忙しい。“眠る間もなく仕事をしている”。家も住む人もいない星で役に立っているのか「あの星はやっぱり小さすぎ」と王子は考えた。

6つ目の星には、机の上の知識だけで行動しない地理学者が住んでいた。

地理学者はたくさんの “知識はあるが現地に行ったことは無い”。記すのは山や海など永遠の事物だけ。花を記録しない理由は、儚く永遠でないから。王子は自分の星に花を残してきたことを後悔した。「次は地球に行きなさい」との地理学者の薦めを聞いて、王子は花のことを思いながら地球に向かった。

地球に着いた王子さまは、ヘビから元の場所に戻してくれる約束をする。

小さな王子さまは6つの小惑星がひとつになったような大きな地球にやってくる。

王様は111人いて、地理学者は7,000人、実業家は90万人、酔っ払いは750万人、大物気取りは3億1,100万人、ざっと20億人の大人と6つの大陸があった。

そして、黄色に光るヘビと出会う。

ヘビは小さな王子さまが着いたところは地球の砂漠で、ここは人がいないこと、そして王子さまは、花とうまくいかなくてここに来たこと、そして王子さまが故郷の星に帰りたくなったときは力を貸してあげるといって別れる。

王子さまは高い山を抜けて、砂漠と岩と雪の中を歩き一本の道に出る。そこにはバラの花咲く庭園がありました。王子さまは暗い気持ちになって胸が絞めつけられます。それは自分の星にしかないと思っていたバラの花が、たったひとつの庭園に5,000本もあったからです。

<この世に一輪しかない宝物のような花を持っているつもりだったけど、ただのありふれた花だった>

そう思うと王子さまは、草の上にうっぷして泣きました。

「心でみなければ、ほんとうのものは見えない」とキツネは教えてくれた。

そんな時にキツネが現れます。

悲しくて遊んでほしい王子さまに、キツネは「初めて会ったばかりで、なついてないから遊べない」と言います。王子さまは友達を探しているので「なつく・・・ってどういうこと?」と訊ねます。

するとキツネは「なつく」ってことは仲良くなって「絆を結ぶ」ってこと。お互いが世界にひとつだけの存在になること。絆を結ぶと、きみの足音は大切な音になるし、小麦畑の色はきみの金髪を思い出させてくれる。

キツネは「なつかせて欲しい」と王子さまに言いますが、王子さまは「友達を探さないといけないので時間がない」と言います。

するとキツネは「人間たちは、もう時間がなくなりすぎて、ほんとうのことを知ることができない。何もかもが出来上がった品を店で買う。でも友達を売っている店なんかない。人間たちには、もう友達がいない」と言います 。

「どうすればいいの」と王子さまが聞くと、「がまんづよくなること、そして言葉は誤解のもとだから気をつけること、それから時間をきめて心を通じること」とキツネは言います。そうして王子さまは、孤独なキツネをなつかせます。でも王子さまはもっと見聞を広げるために、キツネとお別れをしなければなりません。

なつかせているバラは、かけがいのないバラだと知ります。

小さな王子さまは、キツネに言われてもう一度、バラ園のバラたちに会いに行きます。

そして「きみたちは、ぼくのバラとぜんぜん似ていない。まだ、なついていないので、いてもいなくても同じ」そして「外見だけで、中身はからっぽだね。きみたちのためにぼくは、死ねない」

「ぼくのバラだって、他のひとからみたら同じだけど、ぼくのバラは、ぼくが水をあげたり、ガラスのおおいをつけたり、毛虫をやっつけたりしてあげて、時々は黙り込むバラに耳を傾けてあげたんだ」と小さな王子さまは言いました。

その後、小さな王子さまはキツネにお別れを言いに戻ります。キツネは秘密を王子さまに告げます。

「ものごとは、心でみなくてはよく見えない。いちばん大切なものは、目に見えない」

きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが費やした時間。人間たちは忘れてしまったけど、きみは忘れてはいけない。なつかせたもの、絆を結んだものには、永遠に責任があるということを。

砂漠が美しいのは、どこかに井戸をひとつ隠しているから。

それから僕は王子さまから鉄道に乗って何1,000人も疲れた大人たちが目的もなく行ったり来たりする鉄道ポイントの話や、のどの渇きをいやすために薬を飲み時間を節約する大人の話を聞いた。

そして1週間がたち、飲む水がなくなり飛行機はまだ直っていなかった。「井戸を探しに行こう」という小さな王子さま。そこで、僕は、小さな王子さまと一緒に井戸を探しに歩き続けた。

「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をひとつかくしているから」と王子さまは言った。

そうして僕は疲れて眠ってしまった王子さまを、宝物のように抱えて歩いた。そして、井戸についた。その井戸は不思議に滑車も桶も綱もぜんぶ揃っていた。滑車を動かすと、井戸が目を覚まして歌っているようだった。水を井戸の縁まで上げると、揺れる水は太陽が映って煌めいている。

それは体が必要とする水ではなく、祝祭の水のように心にしみる水だった。小さな王子さまが地球に来て明日で1年経つ。1年前に小さな王子さまが着いた場所がここだった。小さな王子さまは僕に飛行機の故障を直すのを続けてといい、明日また、ここへ来てねといった。

1年経って王子さまは星に帰っていく、星を見上げると王子さまがいる。

飛行機の修理ができたことを伝えに小さな王子さまのもとに戻ると、王子はヘビと話をしていた。「きみのは良い毒なんだね、ぼくを長く苦しめたりしないね?」

そんな話を聞いた僕は、何も分からなかったけれど、胸がしめつけられた。

小さな王子さまは「バラの花の話や汲んでくれた祝福の水に似ているね、たいせつなことは、目では見えない」そして「小さな星に帰っていったら、友達のきみは、たくさんの小さな星たちを見上げて、ぼくのことを思うだろう」と言った。

小さな王子さまが今日、砂漠のこの場所に来たのは、1年前と星の位置がぴったり同じになる日に、ヘビに咬まれることで自分の故郷に帰るためだった。

人はみんなその人なりの星をもっている、旅する人には星は案内役だ。学者にとっては研究するために、実業家にとってはお金を勘定するために、そしてきみにとっては星を見上げると僕が笑っているから。あの祝祭の水のお礼に、きみには笑う星々をあげるんだ。

その夜、王子さまはこっそり出かけ、気づいた僕は追いかけた。そして最後は、王子さまは僕につらい思いをさせたくないから、ここからは、ひとりで行かせてほしいと言った。

「ぼくはあの花に責任があるんだ。弱く、ものも知らないし、世界から身を守るのに4つのトゲしか持っていないし」と言った。

王子さまの足首あたりが、ぴかっと黄色い光が走った。一瞬、王子さまは動かなくなった。そしてゆっくりと倒れた。

あくる朝、夜が明けると王子さまのからだ・・・はなく、僕は王子さまは星に帰ったのだと思った。

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