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正宗白鳥

正宗白鳥『何処へ』解説|ニヒリズムに酔う、寄る辺なき我が身。

求道的ゆえに絶対の真理を模索しながらも、不確かな現実に懐疑的な態度で生きるニヒリズムを描く政宗白鳥の『何処へ』。細やかな人物と情景のリアリズムのなかで、百年前の明治と令和に生きる人々の情動を比べ、自我に煩悶する日本人の姿を訪ねる。
浅田次郎

浅田次郎『鉄道員』解説|人々の暮らしを支える、乙松のぽっぽやの人生。

天職を全うした ”ぽっぽや” 乙松は、鉄道一筋の人生だった。なぜ妻の最期も、娘の最期も、看取ってやることができなかったのか?なぜ三人の雪子が乙松の前に現れたのか?人々の生活を支える鉄道員の仕事に人生を捧げた一人の男の生きざまを描く。
村上春樹

村上春樹『眠り』解説|自我と自己のズレ、私という精神の危うさ。

眠れなくなってもう十七日めになる「私」は、死は暗闇での覚醒状態だと考える。日常からズレ、自我が剥き出しになっていく。村上春樹『眠り』のあらすじと解説。人間は自己本位の生き方を忘れことはできない。近代人は永遠に実存に悩み続けるのである。
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夏目漱石

『草枕』と『三四郎』は兄妹!夏目漱石の遊び心と洒落っ気

夏目漱石『草枕』と『三四郎』は兄妹であり、逆さま世界。両作品の生みの親は、夏目漱石『文芸の哲学的基礎』です。どこが似ていて、どんな風に逆さまなのか?漱石先生の遊び心を数えてみましょう。
カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』解説|生きるとは、記憶を訪ねること

クローンとして生を受けた人間たちは、もうひとつのパラレルワールドを生きた。その奇妙で不思議だった日々の謎が徐々に明らかになる。『わたしを離さないで』のあらすじと解説。その残酷な運命のなか、揺れ動く情動を静謐の中に描き、「人間とは何か」を問う。
ミヒャエル・エンデ

エンデ『モモ』解説|時間とは何か?それは生命である

物質文明の現代にあって、時間とは何か?を問う。時間とは貨幣の代替ではなく、かけがえのない命そのものである。ミヒャエル・エンデ『モモ』。この物語は、生きるとは何か?死ぬとは何か?を考えさせる大人たちへ贈るファンタジーであり近代文明批判である。
アルベール・カミュ

カミュ『シーシュポスの神話』解説|不条理に反抗する、無償の精神。

不条理を描いた作家として有名なアルベーユ・カミュ。代表作『異邦人』の解説書となった哲学的エッセイ『シーシュポスの神話』。不条理の論証の具体例としてギリシア神話を引き、無償の中で永遠に石を運び続ける孤高のシーシュポスを英雄とするのは何故か?を解説します。
アルベール・カミュ

カミュ『ペスト』解説|不条理の世界を、いかに生きるか。

どこにでもある港町オランを<ペスト>が襲う、猖獗を極め成す術も無く次々に人々が死んでいく。家族も友人も恋人も全ての移動と自由を奪われた時、人は如何にして<不条理>と向き合うのか?カミュが物語を通して戦争の時代に投げかけた人間の尊厳を問う。
アルベール・カミュ

カミュ『異邦人』解説|それは太陽のせい、不条理に反抗する精神。

男を殺害した動機を「太陽のせい」だとするムルソー。母の死の翌日、海水浴に行き、女性と関係を結び、喜劇映画を観て笑う。信仰心の無いムルソーに法廷は「死刑」を宣告。キリスト文明における無神論者を裁く不条理に抗い、辿り着いたのは人間の精神の自由だった。
夏目漱石

夏目漱石『三四郎』里見美禰子と四人の男(ラストシーンに隠された主題)

『——広田先生と野々宮さんと与次郎と三四郎と。四人はよそをあと回しにして、第一に「森の女」の部屋にはいった。』ここからラストまでに『三四郎』の主題が集約されているのです。
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