川端康成 川端康成『雨傘/掌の小説』解説|傘が結ぶ、初恋の思い出。 離ればなれになる二人は記念写真を撮りに行く。ひとつの傘に確かめ合えたお互いの心、そんな『雨傘』のあらすじを読み主題を解説。帰りは二人の距離がなくなり、ひとつになる。少年の優しさを少女が受け入れる。触れる手に、傘が結んだ、淡い初恋の思い出。 2020.02.07 川端康成
川端康成 川端康成『日向/掌の小説』解説|初恋と祖父の思い出。 初恋の安らぎを描く『日向』のあらすじと解説。孤児ゆえに相手の顔色をうかがう癖があると思っていたが、それは盲目の祖父の顔を見ていたからと気づく。そして今、妻となる女性と日向を歩く思いを描く。相手を思いやる恋人の話に、優しくなれた私。 2020.02.04 川端康成
ベルンハルト・シュリンク ベルンハルト・シュリンク『朗読者』-愛を読むひと- 解説|なぜか?恥だから!自由と尊厳を守った愛のかたち 映画『愛を読むひと』の原作を読む。なぜハンナは突然、ミヒャエルの前から姿を消したのか?なぜハンナは不利な証言をしたのか?隠し通さねばならないもうひとつのナチス迫害の記憶『朗読者』を解説。ひとり罪を負い死を選ぶ。その真実は朗読者だけが知っていた。 2020.01.30 ベルンハルト・シュリンク
森鴎外 森鴎外『山椒大夫』あらすじ|安寿と厨子王の童話を、現代に再生する。 中世の説教節を年代や大筋はそのままに、近代にアレンジした『山椒大夫』のあらすじと解説です。人買いに売られるが、運命を拓き出世して山椒大夫を懲らしめる。安寿と厨子王の話を換骨奪胎した鴎外の創作技法の素晴らしさで、奴隷解放や親子愛の物語となる。 2020.01.27 森鴎外
川端康成 川端康成『バッタと鈴虫/掌の小説』解説|少年の知慧と、青年の感傷。 叢で虫を探す子供たちの一人、不二夫。少年時代の少女へ憧れと会心の微笑み。『バッタと鈴虫』のあらすじを読み主題を解説。大人になり現実の中で心傷き、叢の提灯が映し出した名前の美しさに気づくことの難しさを、川端の繊細な感覚のなかに探す。 2020.01.25 川端康成
森鴎外 森鴎外『舞姫』解説|豊太郎の恋、林太郎の恋。 明治日本の建設のため訪れたドイツで出会った美しい踊子。「恋愛」か「功名」かの二者択一の葛藤に悩む青年の心。個人主義を尊びながら封建主義を捨てきれない日本の矛盾。国家や家名を選ぶか、自身の自由な道を選ぶか、自我をテーマとした日本の近代小説の始まり。 2020.01.23 森鴎外
川端康成 川端康成『伊豆の踊子』解説|”野の匂いの好意”に癒える孤独意識 孤児根性の憂鬱に耐えきれず、一人、伊豆を旅する。学生の私は知り合った旅芸人一行と踊子の純情で心を感じあえる。『伊豆の踊子』のあらすじと解説。「いい人はいいね」と無垢な踊子の野の匂いの好意に、私は自分と自分を取り巻く世界と和解することができた。 2020.01.21 川端康成
志賀直哉 志賀直哉『城の崎にて』解説|生から死を見つめる、静かなる思索。 自分はかろうじて死なずに生きのびた。生と死を思う『城の崎にて』のあらすじを読み主題を解説。直哉自身が電車に跳ねられ、城崎温泉にての養生記。そこで観た蜂、鼠、蠑螈の死に、偶然すら「あるがまま」に、心静かに生死を受け入れる死生観を漂わせる。 2020.01.19 志賀直哉
森鴎外 森鴎外『高瀬舟』解説|あなたなら喜助を、殺人罪で裁きますか? 江戸時代の随筆集の話から問題提起した『高瀬舟』のあらすじと解説。明治の文豪にして軍医の鴎外が現代に問いかけた「足るを知る」ことと「安楽死」のテーマ。兄を慕う弟に対して、喜助の死の幇助の行動や人生の考え方について、あなたの意見はどうですか? 2020.01.17 森鴎外
井伏鱒二 井伏鱒二『山椒魚』解説|悪党になった山椒魚と、悟りをひらく蛙。 頭が大きくなり岩屋から外に出れない『山椒魚』のあらすじを読み主題を解説。次第に性格が悪くなり、紛れ込んだ美しい蛙を閉じ込め同じ運命に引き込む。蛙は死を前に悟りを開き、山椒魚を許して死んでいく。残された山椒魚は、ひとり孤独な死を待つのみとなる。 2020.01.15 井伏鱒二