村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』あらすじ|生きる意味なんて考えず、踊り続けるんだ。

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概要>よく「いるかホテル」の夢をみる。誰かが僕のために泣いている。キキに導かれ、「ドルフィン・ホテル」を訪れ羊男と再会する。僕はもう一度、何かに繋がろうとすると、羊男はそのためにここがあると言い、とにかく踊るんだと言う。失った心の震えを取り戻すために、喪失と絶望の世界をステップを踏みながら僕は通り抜けていく。

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登場人物

僕(主人公)
34歳。相棒の鼠を亡くした後、東京でフリーライターとして文化的雪かきに従事する。
五反田君(本名は五反田亮一)
僕の中学時代の同級生で、人気映画俳優。何をやっても優秀で際立ち愛される男。
キキ
前作「羊をめぐる冒険」にも登場した、特別な耳を持つ美しい女の子の娼婦の芸名。
ユミヨシさん
ドルフィン・ホテルのフロントで働く、ホテルの精のような眼鏡が似合う美しい女性。
ユキ
ドルフィン・ホテルで出会った十三歳の美少女。特別な能力を持ち周囲と馴染めない。
アメ
ユキの母親で、箱根に住む。有名な女流写真家だが我儘な奇行家で、ユキを構わない。
牧村拓
ユキの父親で、ヘビーデューティな冒険作家。アメと離婚しフライデーと辻堂で暮らす。
ディック・ノース
詩人でありアメと暮らし世話をする、ベトナム戦争で左腕を失すがなんでもできる。
書生のフライデー
牧村拓と一緒に暮らす付き人。名字は中村で、ユキは彼をゲイだと断言している。
メイ
キキの同僚のコールガール。五反田君のマンションに呼ばれ「僕」と寝る。
マミ
キキの同僚のコールガール。メイと共にマンションに呼ばれ「五反田君」と寝る。
羊男
前作「羊をめぐる冒険」にも登場した異界との媒介役、「僕」とホテルで再会する。
文学
殺されたメイの事件を担当する赤坂署の刑事、昔の文学青年を彷彿させ渾名される。
漁師
文学の同僚で、漁師のような焼け方をしており文学と同様に「僕」が命名する。

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あらすじ(ネタバレあり)

『羊をめぐる冒険』の続編となっている。あの出来事から四年経った一九八三年の春。「僕」は翻訳事務所の仕事をやめて「文化的雪かき」と称してフリーライターの仕事をしていた。

僕は、よく「いるかホテル」の夢をみる。夢のなかで、誰かが僕のために涙している。夢のなかで僕はホテルの一部としてある・・。あのころ僕には、耳が特別に美しいガールフレンドがいた。彼女はある高級コールガール・クラブにも所属していた。彼女がそこに泊まるべき・・・・・だといった。その後、彼女は僕一人を残していなくなった。彼女が行ってしまったことを教えてくれたのは羊男だった。羊男は<彼女は行かなくてはならないこと>を知っていた。彼女の目的は僕をそこに導くことにあった。そして今また彼女が「いるかホテル」という状況を通して僕を呼んでいる。おそらく彼女が僕のために涙しているのだ。

僕は、函館の仕事の後、札幌に向かい「いるかホテル」を訪ねる。そこは近代的な「ドルフィン・ホテル」に変わっていた。「僕」はフロント係の美しい眼鏡の似合うユミヨシさんと親しくなるが、彼女はホテルの一六階で真っ暗闇の不思議な体験をしたことを僕に打ち明ける。ある日、僕も同じように一六階で恐ろしいほどの完璧な暗闇を体験するが、そこで前作の「羊男」と再会する。多くの喪失のなかで、もう一度、世界と繋がろうとする「僕」に、ここはあんたのための場所なんだと羊男が話す。「羊男」は、ここを中心に繋がっていて、ここが結び目だという。そして音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだという。

その後、札幌の街で、中学の同級生で人気映画俳優の五反田君が先生に扮して出演する『片思い』を観る。映画のラストで恋人役とのセックスシーンで、それがキキ(耳の美しい女性)なのを見て僕は驚愕する。東京に戻る僕は、ユミヨシさんに十三歳の美少女のユキを連れて帰って欲しいと頼まれる。彼女は何か特別の能力を持っているようだ。僕は、東京に帰っても両親から疎外されているユキと時々会う。やがて父親である冒険作家の牧村拓と出会い、ユキの母親は有名写真家のアメだとを知らされる。そして僕は父親からユキの面倒を頼まれる。

僕は、同級生の五反田君に映画で共演していたキキの消息を訊ねるが分からなかった。それでも「僕」と五反田君はなぜかとても気が合い仲良くなる。ある時、キキと同じ高級コールガール・クラブのメイとマミと一緒に五反田君の部屋でパーティーをする。僕はメイにキキのことを訊ねると、クラブでの知り合いだったが居場所までは知らなかった。そして翌日、メイは謎の死をとげる。メイに渡した僕の名刺から、赤坂署の文学と漁師と渾名した刑事に僕は取り調べられ勾留されるが、ユキの父親の計らいで弁護士により解放された。

その後、ハワイの別荘に暮らすアメに招かれて、僕はユキと連れだってハワイに行きアメと一緒に暮らす恋人で片腕の詩人のディック・ノースにも会う。感情のままに生きるアメと見当ちがいなことばかりする牧村の間で、ユキは両親の愛情がなく孤独に生きていることを知る。それから僕はユキとホノルルのダウンタウンをドライブして、港の近くでキキを偶然に見かけ後を追いかける。辿り着いたオフィスビルの部屋のなかで幻想を見るように六体の白骨と出会う。

東京に帰り、箱根の自宅に戻って来たアメに会いに行くが、片腕のディック・ノースが車に轢かれて死んだ。その後も僕は、時々、ユキとデートをするが、ある時また、『片思い』の映画を一緒に観ていると、五反田君とキキのシーンを観たユキは、特殊能力で「キキを殺害し遺棄したのは五反田君だ」という。僕は、迷ったが思い切って五反田君に酒場で確認すると、彼は無意識下でキキを殺害をしたことを語りはじた。彼は小さなころから完璧な優等生でいなければならず、その周囲の目の辛さから時々、破壊本能を起こさせるという。そして僕が席を外した隙に、愛車マセラッティとともに海へ身投げして死んでしまった。

鼠、キキ、アメ、ディック・ノース、五反田君、僕は五人の死体を確認した。そして六人目の死が誰なのかを考える。死の恐怖から逃れようとする僕は、懸命にステップを踏み続ける。僕はユミヨシさんへの愛を告白し、札幌で再会し彼女と結ばれる。僕は、やっと現実に繋がることができた。僕は札幌に、この世界に、とどまることを思った。