ジョージ・オーウェル『動物農場』解説|すべての人間は平等である。だが一部の人間は他よりもっと平等である。

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作品の背景

1937年にオーウェル自身もスペイン内戦に参加。ファシズムのフランコ将軍側はドイツ・イタリアが支持・参戦。一方、反ファシズムの人民戦線側にソビエトを中心に知識人など多くが義勇軍として参戦。

オーウェルの従軍したPOUM(統一マルキスト労働党)はトロキズムの流れを汲む。ここで兵士たちの勇敢さと同時に、ソ連からの援助を受けたスターリニストの欺瞞に義憤を抱く。後にスターリン主義者からPOUMへの徹底弾圧もありフランスに帰還する。

オーウェルは民主的な社会主義者であり、反ファシストであることは当然ながら、スターリニズムを批判する反コミュニストでもあった。正しい社会主義の道を求め、個人独裁を否定し、歴史の改竄、粛清、国民の弾圧を批判する。

ここに『一九八四年』における、ヨシフ・スターリンをモデルとしたビッグブラザーとレフ・トロツキーをモデルにしたエマニュエル・ゴールドスタインと同じ構図が、ナポレオン(=スターリン)、スノーボール(=トロツキー)として描かれる。

「すべての動物は平等である。だが一部の動物は他の動物よりもっと平等である」という共産主義に対して、「こちらにもこちらなりの下層階級がおりますからな!」という資本主義。

資本主義社会においても寡頭制による格差は甚だしく、現代はマルクスの再評価が始まっている。思想でなく、現実の統治に問題は起こる。『動物農場』では、メイジャー爺さんの思想ではなく、ナポレオンの統治に問題があり、権力欲が覇道を遂行させます。

リンゴとミルクの独占から独裁がはじまっており、不正を糾弾する事こそが全体主義に立ち向かう姿勢となります。共産主義や帝国主義の暴挙に対抗するために、知識人と良識ある民衆が連携し、行き過ぎた権力と対立する構図こそが重要です。

ジョージ・オーウェル『一九八四年』解説|自由な思考が剥奪される、全体主義の監視社会。
過去が改竄され、歴史が塗り変えられる世界。全体主義の監視社会『一九八四年』のあらすじと解説。新たな語彙と文法のニュースピークによってイデオロギーは実践され、人々は無意識に新秩序を生きる。ディストピアを実現するビッグ・ブラザーが睥睨する社会を考える。

発表時期

『ウォーバーグ社』から1945年8月に刊行。刊行にあたり紆余曲折があり、オーウェルは思想や言論の自由に対して、知識人やジャーナリストたちの世論を意識した臆病さを危惧します。当時のイギリスは、ロシアやソ連の社会主義についての批判に消極的でした。

冷戦後、レーニンやスターニンの主導したソビエト全体主義を痛烈に批判した作品として西側諸国に受け入れられ現在まで世界100数か国、億単位の冊数を読まれる作品となっています。