映画『アンタッチャブル』あらすじと解説/ここが見どころ!

概要>禁酒法時代のシカゴを舞台にアメリカ財務省捜査官たちの戦いを描いた映画。主任捜査官エリオット・ネスの自伝を元に映画化。警察すら手を出せないロバート・デニーロ演じるアル・カポネの凄まじい権力支配と非情な暴力のなか、4人の捜査官の不屈の正義が戦いを挑む。

登場人物

エリオット・ネス(ケビン・コスナー)
アメリカ合衆国財務省捜査官で密造酒の対処にシカゴに赴任する。
ジム・マローン(ショーン・コネリー)
初老の巡査パトロール、手柄よりも無事に家に帰ることを考える。
ジョージ・ストーン(アンディ・ガルシア)
警察学校に在籍する凄腕のふてぶてしく正義感のある新人。
オスカー・ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)
財務省からエリオットの応援に来た有能な経理係。
アル・カポネ(ロバート・デニーロ)
禁酒法時代、シカゴを牛耳るギャングの大ボス、栄華をきわめる。
フランク・ニッティ(ビリー・ドラゴ)
カポネの右腕の部下で、命令のもと次々に暗殺を企て実行する。
ウォルター・ペイン(ジャック・キーホー)
カポネの帳簿係、法廷で証言をする。

あらすじ(ネタバレあり)

1930年、禁酒法はシカゴをギャング戦争の街に変えた。10億ドルの密売酒市場の利権をめぐって各組織は血の抗争を続けた。それは、ギャングの時代であり、アル・カポネの時代だった。

アル・カポネは、シカゴ市の実質的な市長だった。

豪華な部屋の中で、床屋に優雅に顔をあたらせ、髭をそり、爪をととのえ、靴を磨かせる男がいる。

彼の名前は、アル・カポネ。

新聞記者が取り巻き「誰が見ても実質的なシカゴ市長はあなただ」と話す。カポネは「どんなに禁じられても人々は酒を欲する、これはビジネスだ。俺はシカゴにはびこる暴力とは何も関係がない」と答える。

禁酒法の時代、密造や密輸入でアル・カポネは莫大な富と地位を築いていた。

ある日、カポネのファミリーからのビールは仕入れないと断る酒販店が爆破される、幼い10歳の女の子が巻き添えになって死んだ。

新聞は“ビール戦争、10歳の少女が犠牲に”と報じた。

財務省は、エリオット・ネスを送り込み取締強化をはかる。

シカゴ市当局の要請を受けて、政府は密売酒とそれにからむ暴力事件の対処に乗り出す。

アメリカ財務省の特別調査官のエリオット・ネスが着任した。

「具体的にはどうするのか?」という記者たちの質問に、「禁酒法は国の法律なので、調査官が警察と協力して・・・」と話すと「政治的な野望か?」と冷やかす記者たち。

ネスは、アンダーソン警部補から部下たちを紹介されて「酒を飲むのは今日限りだ、酒の有害無害の問題ではなく法律に従うことが重要だ」と説教をする。

ネスのもとに“大量のカナダウィスキーがシカゴに入ってきている”との情報が入り、早速、現場に向かう。コンテナを前に、ネスは「連邦捜査官だ、禁酒法違反で逮捕する」と新聞社のカメラを意識しながら見得を切るが、中身はただの貨物だった。

“警察の助っ人、大黒星。あわれな蝶々さん。”と新聞に揶揄され大きな失態を冒す。

警官もカポネに買収されていて情報が筒抜けだった。

4人の特別捜査チーム「アンタッチャブル」を編成する。

ある日、ネスのオフィスに巻き添えになった10歳の女の子の母親が訪れる。彼女は、ギャングに立ち向かうネスに感謝しながら彼らの逮捕を願って泣き崩れる。

思案するネスは、街をパトロールする老警官のマローンと出会う。

思い悩むネスに、マローンは「警官の心得は、毎日生きて家に帰ることだ」と忠告し、この街の警官の腐敗ぶりと「腐っていない警官は俺だけだ」と言う。

ネスはマローンの強い正義感を信じ「手伝ってほしいと」と談判に行くが、マローンは「年老いた今のおれにとって大切なことは生きていることだ」と断わられる。

ネスがオフィスに戻ると、本省からウォレスが経理担当として派遣されていた。

しばらくして老警官のマローンが現れる。「カポネをあげるのは本気か?どういう手を打つつもりなのか?覚悟はできているのか?」と矢継ぎ早に本意を確認する。

シカゴの戦争の凄まじさを語り「それをやり抜く覚悟はあるのかね?あるなら話にのろう」とせまる。

ネスは「おれはアル・カポネを挙げると誓った。法の範囲ならばどんなことでもやる」と答える。

マローンは 「神は臆病者が嫌いだ」といって、ネスと握手を交わす。

警察の中に内通者がいて、ネスに気をつけるようマローンは忠告する。そしてシカゴの街は、ドブよりも臭く腐敗していることを嘆く。

そしてもう一人、汚れていない新人を探しに警察学校へ行く。そこで、物おじせず、ふてぶてしく、射撃が得意なストーンを加えることにする。

ネス、マローン、ウォレス、ストーン。4人の特捜チーム「アンタッチャブル」が誕生した。

アンタッチャブルは、容赦なく違法行為を摘発します。

4人は手始めに郵便局の中にある密造倉庫に突入し違法行為を摘発します。

新聞は“警察の助っ人、ついに金星を挙げる”と一面に報じます。

カポネは、幅広く一般の商売もしている、それもすべて合法だが表向きの所得はゼロだ。
ウォレスは「金の流れさえ立証できれば脱税罪で告訴できる」といいます。

ネスのオフィスに市会議員が訪ねてきて、ネスを買収します。「きみは教養のある男だ、おかげで大きな成長企業が迷惑を受けている。手をださず引っ込んでいてほしい」といいます。

ネスは激昂し、置かれた金を投げつけて断り、腐敗は議会にまで及んでいることを知ります。

その夜、カポネの手下ニッティが、ネスの家の前で待ち伏せをしています。「娘の誕生日か、家庭はいいな。家族に何もないようせいぜい気を付けな」と不気味な笑いを残し去っていきます。

いつも悪は、愛する者に迫ってくる。ネスは、妻と娘を安全なところに避難させます。

闇取引の現場をおさえ、金の流れを記した帳簿を手に入れるが。

ウォレンは「カポネは300万ドルの収入があるのに税金を払っていない。金が流れていることを立証できれば、脱税容疑で告発できる。」と言います。

そのころ、カナダからの密造酒の大きな取引の情報を得ます。

10台近いトラックに積んだウィスキーをカポネの幹部が引き取る。取引は現場でキャッシュで支払われ、場所は国境を越えたアメリカ側。ネスたちは、カナダ警察の力もかりて烈しい銃撃戦の末、金と酒の両方をおさえます。

カポネファミリーの幹部を捕らえ、所持していた帳簿を入手し改めます。

警察や裁判所にも賄賂の記録があり、金の流れが書いてあるが暗号がかかっている。脅しに屈して白状しはじめる部下、ウォレンが問いいただしていきます。

顛末の知らせを聞いたカポネは「エリオット・ネスを殺せ、血祭りにあげろ!家族も一人残らずぶっころせ」と激怒する。

アル・カポネに対する召喚状が検事局から出されます、内容は“所得税の脱税とそれを画策した容疑”、有罪が認められれば、最高28年の懲役となります。

ウォレスはカポネの幹部を証人として連れていくが、警察署内にすでに手下が送られ、エレベーターの中でウォレスは、証人となる裏切った幹部ともども殺されてしまいます。

凄惨な現場には、血塗られた文字で“手は届くぞ(タッチャブル)”と残されていた。

それは、警察内部の手引きによるものだった。

マローンは死をかけて、カポネの帳簿係の情報を突きとめる。

激昂するネスは単身で、ホテルに宿泊するカポネを訪れる。

部下たちに厳重に囲まれて、降りてくるカポネは「告訴するならしろ、そっちには証拠も証人もいない。向かってくることもできない腰抜けだ」と声を荒立てます。

ネスが検事に連絡すると、検事は「人権はおかせない、証人もなく告訴したら赤っ恥をかくだけだ」と言います。検事も買収されていました。明朝、検事は告訴を取り下げます。

ウォレスが殺され、心配は家族にも迫っている。ネスはあきらめようとしていた、それでもマローンは俺のためにやってくれとネスに頼みます。マローンの正義はくじけなかった。

マローンは警察時代の同僚に「カポネの帳簿係を知りたい」と問いただします。長年の警察とカポネの癒着にうんざりしていると説得するが、同僚は「ばれたら、おれは消されるよ」と答えます。

マローンは力づくで帳簿係ペインの情報を掴み、ストーンに連絡を入れる。

一方のネスは検事局に行き取り下げるなと説得をする。恥をかくのを嫌がる検事に命がけの仕事であることを説得する。

一方、オペラ会場でオペラを楽しむカポネに新聞記者が群がり、告訴の噂の感想を訊ねる。カポネは、「おれに手を出す奴はひねりあげる、おれから盗む奴にはそれ相応の礼をする、拳闘の試合は最後に立っている方が勝ちだ」と絶対の自信をみせます。

警察の密告で、マローンは、二人組のギャングに罠にはめられてニッティのマシンガンで無残に殺されてしまいます。駆けつけたネスに、マローンは最後の力をふりしぼり帳簿係ペインがシカゴユニオン駅で12:05分のマイアミ行きに乗る情報を伝え「打つ手を考えろ」と言い残して絶命する。

銃撃戦のすえ帳簿係を捕らえ、カポネの脱税を摘発し悪に勝つ。

帳簿係を捕まえに向かうネスとストーンは、駅で待ち伏せをする。

そこに乳母車に赤ん坊を乗せた婦人がいた、荷物が多く、一人で乳母車を持ちあげて階段を登れない。見かねてネスが手伝う。そこに現れたカポネのファミリーと帳簿係ペイン。

激しい銃撃戦が始まる、ネスが持ちあげた乳母車が逆に階段に落ちていく、追いかける母親、飛び交う弾丸。すんでのところで乳母車を食い止めるストーン。

帳簿係を人質にとるカポネの手下、「助けてくれ何でも話す」と命乞いする帳簿係のペイン。

狙いを定めてストーンが敵の額に命中させる。帳簿係は捕捉された。

法定での予備審問が始まる。帳簿係は「帳簿の符号は支払いを表している。受取人は市の役人、警察官、アル・カポネ」と証言する。「カポネへの支払いが目的だったのか」との検事の質問に、帳簿係は「過去3年間、私がカポネに渡した金は、130万ドル以上。」と答える。

ところが法廷のカポネは不敵な笑いを浮かべている。

ネスは拳銃を携行しているニッティを法廷の外に出す。そしてニッティの握る紙切れを奪う、そこには“本状を持つフランク・ニッティ氏に、便宜と考慮を与えるように。シカゴ市長、トンプソン”と書かれていた。市長までがカポネの意のまま動かされていた。

さらに紙マッチにマローンの住所が書いてあった。ネスが問いただすと、ニッティは警備官を殺害し逃亡する。追いかけるネス、ひと目の無い裁判所の屋上に追い詰めたネスは、マローンの死に際を侮辱するニッティを突き落とす。

陪審員を買収した控えがニッティのポケットからでてくる。「これは証拠にならん、出所が不明だ」と裁判官は逃げる。ネスは裁判官に「人殺しのカポネを無罪放免するのか」とせまる。

そして「名簿にはあなたの名前もある」と脅す。観念した裁判官は「陪審員を全員入れ替えろ」と指示をだした。不利を悟ったカポネの弁護士は、無罪を取消し有罪を主張する。

そして、カポネの裁判が開始された。懲役11年。

新聞は報じる“ギャングの街を制したアンタッチャブル”

ネスは、マローンの形見の“聖ユダのメダル”をストーンに渡して別れを惜しむ。

新聞記者が寄ってくる、カポネをあげた男としてひと言、感想を聞きに。「運がよかったんだよ」とネスは答える。記者が質問する「禁酒法が撤回されるようです、あなたはどうしますか?」

ネスは答える「飲むさ」。ネスは、シカゴ警察を去っていく。

解説/ここが見どころ!

名優たちのエンターテイメントとしてのおもしろさ

俳優たちのそれぞれの演技が見どころです、いくつかご紹介しますと、

正義感のかたまりのエリオット・ネス(ケビン・コスナー)の拙速は、最初はガセネタで大失態。そしてマローン(ショーン・コネリー)を支えにストーン(アンディ・ガルシア)やウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)でチームを編成します。カポネに屈することなく聖域のない捜査に、新聞は、彼らを表して「アンタッチャブル」と呼びます。

この作品で、ケビン・コスナーは真っすぐで正義感溢れる役人を演じ、本格的にハリウッドスターの仲間入りをした 、名優ショーン・コネリーはネスを包み込む優しさと意思の強さをみせ、この映画で復活を果たします。さらに個性的でふてぶてしくクールなアンディ・ガルシア、アメリカングラフィティでいい味を出していたチャールズ・マーティン・スミスのおとぼけなど4人の役どころも絶妙のバランスです。

体重を増やし頭髪を抜いてカポネの役作りをした(ロバート・デ・ニーロ)、ギャング同士の派手な抗争シーンはありませんが、組織の裏切り者に対してバッドを凶器に変えて撲殺をする場面は、その凶暴性を異常に表現し、この映画の象徴的な見せ場です。

ニッティ(フランク・ドラゴ)は、作品の中で終始、不敵で凍り付いた眼差しで危険な雰囲気を醸し出します。すべての殺人で震撼させるシーンを演じますが、エレベーターで殺されたウォレスの血文字で“タッチャブル(手はとどくぞ)”の脅しのメッセージも印象的です。

ネスはひとりカポネを捕まえに宿泊先のホテルに乗り込みます、殺気立つカポネと部下たち。引きかえすことのできない対決の構図が鮮明となりますが、ここで、アル・カポネの子どもがギャングスターの恰好そのままにホテルの階段を降りてくるシーンがおもしろいて可愛い。

そして極めつけのシカゴユニオン駅での乳母車とギャングたちとネス、ストーンの緊迫するシーン。ストーン(アンディ・ガルシア)が照準を定めて見事に敵の額を射抜くシーンは有名な見せどころです。

このように名優たちの演技と見どころが豊富です。

さらに30年代のクラシカルなシカゴの街の雰囲気やホテルの絢爛さや帽子や葉巻などのファッションアイテムのこだわりなどディテールも素晴らしい。、迫りくる緊張感のあるエンニオ・モリコーネの音楽はサスペンスの気分を昂揚させます。

尚、この映画はエリオット・ネスの自伝をもとに製作されていますが、実際のネスとは異なっていたり、史実とは違う部分も多くあります。

1930年代の禁酒法とアル・カポネの時代について

酒に関する人々の意識の歴史は深い。そもそも酒が神様からの贈り物である一方で、その乱用は悪魔の仕業によるものとの社会的な同意がありました。

1840年代に始まった禁酒法の運動は、近代では1917年に禁酒法を達成するための憲法修正決議が通過し、最終的に1920年に施行され禁酒法時代が始まります。

賛否はあったものの結局は、アルコールの製造、販売、輸送は違法となります。しかし結果的には人々の欲望は「もぐり酒場」を生むことになり、国境を越えて蒸留、醸造されたアルコールは不法に輸入されるようになり逆に狂騒の20年代を迎えます。

その中でもシカゴ市は、禁酒法をごまかす場所として有名になり、アル・カポネやバグズ・モランの2つの悪名高いギャングは、無許可で酒を製造販売することで繁栄します。

1933年のフランクリン・ルーズベルトの時代に禁酒法は廃止されます。一説には石油メジャーなどのディープステートの陰謀論もあります。

一方のアル・カポネは、1899年にニューヨークのブルックリン区にイタリアのカンパニア州サレルノ県アングリ出身の移民の子として産まれ、やがて不良となります。

シチリア出身ではなかったのでマフィアの本流には加われなかったが、本格的に暗黒街に入り、そして1920年にシカゴに移ります。

1925年に縄張りを譲られ、26歳で組織のトップになります。市議会議員や警察などの官憲を買収し実質的にはシカゴ市長と言えるほどの存在となります。

しかしその栄華も、フーバー政権下、映画のエリオット・ネスのチーム「アンタッチャブル」から密造酒関係の調査をすすめられ、最終的には脱税で告発されます。映画では、ネスが「禁酒法」、ウォレスが「脱税」と2つの方向でカポネを追いつめていきます。

1931年から始まったアル・カポネの脱税裁判で、合計11年の懲役、罰金8万ドル。1939年釈放、そして1947年、脳卒中に伴う肺炎により死亡。

カポネは、かつての栄華を極めたシカゴに戻ることはありませんでした。

ニューヨークタイムズは「悪夢の終わり」と報じます。

ブライアン・デ・パルマ監督
映画『アンタッチャブル』1987年のアメリカ映画
1987年アカデミー賞助演男優賞、ゴールデングローブ賞助演男優賞
カポネ役のロバート・デニーロの演技力が見どころのギャング映画の名作です。


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