解説>銀行の副頭取のアンディは冤罪だが終身刑が下り、ショーシャンク刑務所に収監される。絶望の中で見た刑務官の横暴さ、囚人のいじめや暴力。それでも希望を失わず諦めずに、最後は脱獄して夢を実現する。ティム・ロビンスとモーガン・フリーマンの友情が二人を繋ぐ。
登場人物
アンドリュー・“アンディ”・デュフレーン(ティム・ロビンズ)
大手銀行の副頭取、無実の罪でショーシャンク刑務所に終身刑で収監される。
エリス・ボイド・“レッド” レディング(モーガン・フリーマン)
囚人で20年服役、いろいろな物を揃えられる調達屋でアンディと親しくなる。
サミュエル・ノートン(ボブ・ガントン)
刑務所の所長、規律と聖書を重んじながら、自身は私利私欲を貪っている。
バイロン・ハドレー(クランシー・ブラウン)
ノートンの部下で主任刑務官、刑務所を暴力を用いて厳しく管理している。
ヘイウッド(ウィリアム・サドラー)
囚人でレッドたちの仲間で、アンディとも仲良くなる。
トミー・ウィリアムズ(ギル・ベローズ)
窃盗犯の新入りで、アンディの事件で驚くべき新事実を伝える。
ボッグズ・ダイアモンド(マーク・ロルストン)
囚人で所内では「人間のクズ」と呼ばれるホモ野郎で、アンディを狙う。
ブルックス・ヘイトレン(ジェイムズ・ホイットモア)
囚人で50年服役、図書係を務め仮釈放になるが外の世界に適応できず自殺する。
あらすじ(ネタバレあり)
アンディは、法廷に立っている、妻とその愛人を殺害した容疑者として。
彼は大手銀行の副頭取をするほど優秀だった。ある日、離婚話を妻に持ちかけられる、その後、妻は愛人のもとへ出ていった。アンディは、バーで酒を飲み殺意を抱き愛人の家に拳銃を持って向かうが、踏みとどまり銃も川に捨て家に帰った。
ところがその同じ日に、妻と愛人は何者かに殺害された。アンディは逮捕され無実を主張するが認められず、法廷は彼を終身刑とした。
1947年、アンディはショーシャンクの刑務所に収監される。
新しい囚人たちが、ショーシャンクの刑務所に送られてくる。古株の囚人たちは、新人たちの誰が最初に泣きだすかを賭けるのが習わしだった。レッド達は、それぞれに相手を予想し賭けが始まる。
集められた新人たちは、規律と聖書を重んじる所長のノートンと主任のハドレーに、厳しい挨拶の洗礼を受ける。ノートンは囚人たちの命は自分の手中にあり、ハドレーは刑務官の指示に従順であることを新入りの囚人に忠告する。
収監初日が最も辛い。裸にされ消毒され投獄される、その時から長い時間との葛藤が始まる。
一斉に消灯された後は、古株が新人をからかい、はずかしめる。すると必ず誰かが泣きわめく。案の定、耐えきれずひとりの新人が泣きわめきだした。そしてハドレーに激しい暴力を受けて死んだ。
これがショーシャンク刑務所の現実だった。
アンディは1か月後、はじめて人と話す。相手は調達屋のレッド。
アンディは「ロックハンマーが欲しい」と言い、レッドは凶器にもなりうるが鉱物の趣味を再開するというアンディを信頼し了解する。そして、“人間のクズ” と呼ばれているホモのボッグズが上品なアンディを狙っているので注意するように伝える。
レッドはアンディの人柄に好意を抱いてた。レッドはロックハンマーを調達するが、それはあまりに小さなものだった。
ボッグズに怯えながら、ハドレーの悩みを解決してやるアンディ。
アンデーは洗濯係に配属されるが、そこでボッグズたちに性的暴行を受けてしまう。
その後もアンディはボッグズたちにつけ狙われ、生傷が絶えず2年の月日が流れた。
1949年の春、ノートンは屋上の修理作業をするメンバーを選ぶ。5月の屋外作業は気持ちの良い仕事だった。レッドは調達したタバコで係員を買収して自分の仲間たちもその仕事にありつけた。
アンディもそのメンバーに加わり、そこで主任刑務官ハドレーの悩みを聞いてしまう。
その内容はハドレーの兄が死んで100万ドルの遺産があり、その分け前が3万ドルあるが、その相続税の多さに愚痴をこぼしていたのだった。
アンディはハドレーに近づき「贈与の形にすれば非課税で遺産を相続できると説明し、贈与の書類作成は面倒で弁護士がいるので自分が無料で書類を作成してやる」と言う、その代償としてできれば皆にビールを飲ませてやってほしいと頼んでみる。
ハドレーは了解した、アンディのおかげでレッド達はビールを味わうことが出来きシャバにいるような幸せを満喫した。
何故か微笑みながらひとり壁にもたれかかるアンディ、ヘイウッドがビールをすすめると「酒はやめたんだ」と告げる。そしてアンディは、この件でレッドやヘイウッド達から仲間として受け入れられた。
アンディに安全が保証され、皆に仲間として迎えられる。
アンディに興味を持つレッドは「なぜ人を殺した」と訊ねる。アンディは「無実だ」と答える。
レッドは、微笑みながら「刑務所では皆、自分が無実と答える」と話すが、それでも何かアンディに特別なものを感じている。
アンディは刑務所内の時間を利用してチェスの駒をつくるという。チェスの駒は大理石や石鹸石を選ぶ。オセロと違い、チェスは王と戦略のゲームだという。
映画鑑賞の日、アンディは調達屋のレッドに “リタ・ヘイワーズ” のポスターを頼む。
その日、アンディはボッグズたちに襲われる、必死の抵抗で恥辱は免れたが半殺しの目にあい1か月の大怪我で診療室に連れていかれた。
ハドレーは利用価値があるアンディを守るべくボッグズを襲う。
以後アンディには安全が保証され、ボッグズは生涯、流動食となるほど痛めつけられて車椅子の生活となり囚人用の病院へ移送された。
やがて診療室から戻ったアンディに、仲間たちはアンディのためにチェスの駒となる鉱石を屋外作業のなかで採集し、レッドは依頼された “リタ・ヘイワーズ” のポスターをお祝いに贈った。
刑務官たちの資金運用の相談に乗り、ノートンの信頼を得るアンディ。
ノートンはある日、抜き打ち検査を装ってアンディを値踏みした。ノートンはアンディに図書係を命じた。場所は、ショーシャンク刑務所図書室。
長い間、図書係は一人で充分だったのに、二人になったことをアンディは疑問に思う。ずっと担当している図書係で老囚人のブルックスは、話し相手が出来て喜んだ。
アンディの仕事は別にあった。刑務官のひとりが息子の進学で相談に訪れ、アンディは貯蓄計画をアドバイスする。アンディは銀行時代の知識と実績をいかして刑務官たちに無料の資産アドバイザーとして重宝がられた。
やがてアンディは刑務所の本の予算増を考える。ノーマンの許可を得てアンディは州議会に要請の手紙を書くが、州からの返事はこなかった。
アンディは所長を含め、全員分の刑務官のために所得申告を代わりにしてやる。さらに刑務官のさまざまな経費処理のアドバイスを行い、繁忙期はレッドも手伝う状況だった。
ある日、老囚人のブルックスが仮釈放となるが、不安の中で錯乱しヘイウッドをナイフで刺そうとする。懸命にアンディは説得し事なきを得たが、レッドにはブルックスの気持ちが痛いほど分かっていた。
レッドは刑務所暮らしの現実を「最初は憎み、しだいに慣れ、長い月日の間に頼るようになる、施設に慣れてしまうのだと。終身刑は人を廃人にする刑罰だ、陰湿な方法で。」と言う。
そして一通の遺書が届く。50年の刑務所暮らしを経て仮釈放され自由の身になったブルックスは結局、外の世界に馴染むことが出来ず自殺をした。
アンディの粘り勝ちで、図書館の予算増が州議会に認められる。
アンディは、その後も州議会に刑務所の図書館の予算増を申請し続けるが、6年後に要望が受け入れられ200ドルの小切手と古書やレコードが送られてくる。
その中に “フィガロの結婚” のレコードを見つけたアンディは、制止する刑務官を無視してオペラを館内放送で流す。“フィガロの結婚” は、ショーシャンクの刑務所内や作業広場に流れた。
アンディは、「俺は、これが何の歌か知らない。だが、知らない方がいいことだってある。よほど美しい内容の歌なんだろう。心が震えるくらいのこの豊かな歌声が、我々の頭上に優しく響きわたった。皆が自由な時間を味わった。」と感じた。
怒るノートンを無視して、アンディはさらにボリュームを上げる。
そしてアンディは、懲罰房に2週間いれられた。
その後、仲間たちは心配してアンディを迎えたが、アンディは快適だった。頭の中で、心で、音楽を聴いて懲罰房を過ごし「音楽は誰にも奪えない」と言う。
心の豊かさを失わず希望を持つべきだと話すアンディに、希望は危険だとレッドは言う。正気を失わせる堀の中では、希望は禁物だとレッドは悟っている。
アンディは希望を抱き続けながら、ノートンの不正に協力する。
レッドは刑期のうち30年を終え仮釈放を申請するが不許可となる。
アンディもショーシャンク刑務所で10年になる。
申請が叶わなかったレッドに、アンディはハーモニカを贈る。アンディの10周年にレッドはマリリン・モンローのポスターを贈る。
アンディは、引き続き州議会に予算の申請を続け、500ドルに増えた。そのお金で新たに格安な本や売れ残りの本で図書館を充実させる。図書館は、次第に囚人たちの憩いの場になった。
1963年、図書館も改造した。音楽も自由に聞けるようになった。
所長のノートンは “青空奉仕計画” を始めた。社会福祉事業だと善人ぶるが、ノートンの考えは、囚人を外で奉仕活動をさせその収益と業者の入札時のピンハネで私腹を肥やす狙いだった。
ノートンは、その管理を元銀行員のアンディにやらせた。
2口に分けてアンディはこれを管理した。そして絶対に国税から発覚しないように、“ランドール・スティーブンス”という架空の個人名義を使い、不正なお金をクリーンなお金に換えて蓄財していった。
アンディは外では善人だったが、刑務所に入ってから悪人になったと笑う。
アンディの無実が明らかになるが、ノートンがそれをもみ消す。
1965年にトミーという青年が窃盗の罪で、2年の刑で入所してきた。
トミーは、根っからのワルで悪事を働き様々な刑務所を転々としていた。しかし結婚して子供もいたため高校資格を取りたいと言う。アンディはトミーに1年がかりで勉強を教え高校の資格試験を受けさせる。
1966年ポスターはラクエル・ウェルチに変わっていた。
トミーはアンディの罪状を聞き、レッドが “妻とゴルフプロの殺害” を話すと、トミーは4年前にいたトマストン刑務所で相部屋だった新入りの囚人で、いけすかないエルモという名前の男が “昔、ゴルファーとその愛人を殺害して、なんと捕まったのはその愛人の旦那だった” と笑って話していたことを伝えた。
アンディの事件の真犯人は、トミーの言葉によって判明した。
再審請求を依頼するアンディに、ノートンはこの話を無視した。それは利用価値があるアンディがいなくなっては困るからであった。
裏金のことは秘密にすると懇願するアンディをノートンは懲罰房1か月とした。
アンディはすでにショーシャンク刑務所に無実の罪で19年になっていた。
トミーは高校の資格に合格したが、ノートンにとっては極めて都合の悪い人間だった。ノートンはアンディの無実をトミーに確認した後、ハドレーに命じてトミーを殺害した。ノートンは「トミーは脱獄をはかり仕方なく射殺した」と嘘をついた。
アンディの無実を証明できる唯一の人間はいなくなった。
アンディは、ノートンの会計係を辞退したいと申し出るが、ノートンは許可しない。続けなければ男色の囚人の相手をさせ、図書館を閉鎖して書物も燃やすと脅す。
ノートンにとって便利な人物のアンディは、同時に、今では事実を知る危険な人物でもあった。
失意の中でレッドと話すアンディは「外の世界に出たらメキシコのジワタネホの町に住みたいという。その太平洋に面した町で、ホテルを開業したい」と言う。太平洋の別名は “記憶のない海” という意味だとレッドに話す。
そして、レッドがシャバに出たらぜひ手伝ってほしいと言う。その時、レッドは、自分がシャバに出たらブルックスと同じく生きられないだろうと考えていた。
アンディは、必死に生きるか、必死に死ぬか、の決断をせまる。
アンディはレッドに「仮釈放になったらバクストンの牧草地に石垣があってカシの木が1本生えている場所を目指せ」と告げる。そこはアンディが妻にプロポーズをした場所だった。そして「その下にある黒曜石の下を掘り返せ」と言う。
レッドはアンディが自殺するのではと心配でその夜は眠れなかった。
翌朝、点呼の時、アンディの姿はなかった。
ただ窓のへりに鉱石で作ったチェスの駒があるだけだった。激怒したノートンが、チェスの駒をあたりに投げつける、そのひとつがポスターにあたり突き抜けた。
ノーマンはポスターの裏の壁の穴を見つけて唖然とする。
1966年、アンディは脱獄した。
19年間をかけてアンディはロックハンマーで壁に穴をあけて掘り続け、それをポスターで隠していた。アンディは穴を掘り続けることで何とか正気を保っていた。
アンディは、穴を抜けて460mの下水管をはって刑務所の外に出た。外は 激しい雷雨だが、稲光の中でアンディは自由を勝ち得たと感じた。
街に出たアンディは、ノートンが着用するスーツと靴を身につけていた。
ノートンの架空口座を、かねてからの “ランドール・スティーブン” の名義で、出生証明や免許証も用意して難なく37万ドルを全額解約し、メキシコに向かった。
さらにノートンの不正と刑務所内の殺人の事実を新聞社に告発した。新聞はショーシャンク刑務所の不正と殺人の事実を一面で報じた。
警察が訪れハドレーは逮捕され、ノートンは拳銃で自殺した。
アンディからのハガキを受けとったレッドは、自由の身になったアンディの姿を想像し爽快な気分になった。同時に彼がいなくなって空虚な日々が続いていた。
やがてレッドは仮釈放になり、40年ぶりにシャバに出た。レッドに用意されたねぐらは、 自殺した ブルックリンと同じ部屋だった。更生の仕事もブルックリンと同じものだった。
そしてレッドもまたブルックリンと同じように、シャバの自由が馴染めず怖く怯えていた。
そんな時、アンディとの約束を思い出す。レッドはバクストンの牧草地に向かい、石垣の下の黒曜石の下を掘った。そこには、レッドが釈放した時にと記された アンディからの手紙と現金があった。
手紙には「ジワタネホにいる私のところに来て、仕事を手伝ってほしい」とあり、「希望は素晴らしい、何にも替え難い、希望は永遠の命だ」と綴ってあった。
レッドも、“必死に生きる道” を決断した。彼は仮釈放違反を犯し町を出てアンディのもとに向かった。彼はメキシコに向かう長旅の中、ほんとうの自由を手に入れた。
レッドは海岸線を歩き、太平洋を臨む美しい砂浜でボートを磨くアンディを見つけた。
二人は笑顔で抱擁しあった。大きな青い空と碧い海が二人を迎えてくれた。
