映画『シー・オブ・ラブ』あらすじと解説/ここが見どころ!

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解説>ニューヨークの夜に、3人の男が殺される。現場に残る“シー・オブ・ラブ”のレコード。甘美な歌とリズムが流れる殺人。人生に疲れた中年刑事フランクと恋をハンティングする女ヘレン。アル・パチーノの刑事の眼とエレン・バーキンの謎の微笑みが交差する。

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登場人物

フランク・ケラー(アル・パチーノ)
N.Y.市警で勤続20年になる疲れた中年ベテラン刑事。
ヘレン(エレン・バーキン)
詩を愛し、恋をハンティングする謎の女性。
シャーマン(ジョン・グッドマン)
112分署から事件解決のためフランクとチームを組む。
テリー(マイケル・ルーカー)
テレビの修理人、殺人の容疑者を目撃したという。

あらすじ(ネタバレあり)

80年代末の大都会ニューヨークを舞台に男と女の孤独が漂うサスペンス。

N.Y.市警のフランク刑事は、40歳を越え勤続20年を表彰されるベテランだが、妻とも離婚し、夜になると酒浸りの日々を送っている疲れた中年刑事。

ある日、全裸のままベッドの上でうつ伏せにされ、銃で撃たれる殺人事件が起こる。

同じ手口の殺人が別の112分署でも起こり担当するシャーマン刑事とフランク刑事は、この2つの事件が同一犯と確信しチームで捜査にあたる。

3つの殺人事件に共通する“シー・オブ・ラブ”のレコード盤。

賑わう大都会に、孤独で人恋しい人々が棲息している。

3人目の犠牲者が出た時に、3つの殺人に共通なことは“シー・オブ・ラブ“という古いドーナツ盤のラブソングのレコードがあったことと、男たちはニューヨークウィークリーという独身向け雑誌の恋人募集欄に広告を出していることだった。

そして広告の文面は、3つとも詩で綴られていることを発見する。

そこで、同様のアプローチで容疑者を絞る、おとり捜査を考えつく。

今みたいにSNSのない80年代はフリーペーパーに、こんな投稿欄があったのです。就職の求人欄と同じような友達募集欄や恋人募集欄のようなイメージです。

フランクとシャーマンは、恋人募集欄に詩を投稿し、そこに反応する女性たちをレストランに呼び、会話しながらグラスに残る指紋を照合して容疑者を調べました。

このおとり捜査にたくさんの愛を求める女性たちが集まってきます。

誰もが外見は不自由の無い相応の社会的な立場や仕事をもつ人間ばかり。そこには表面からは分からない都会に生きる人々の孤独が漂います。

あなたには、動物的な魅力を感じられない、謎の女性はそう言います。

そこにあらわれるヘレン。

長身でスタイルが良く、金髪で野性的、そして個性的な表情が印象的です。

会話を始めるフランクをさえぎり、あなたには“動物的な魅力を感じない”と指をパチリと鳴らし、相性が合わないとつれない態度。

とりなすフランクですが、グラスに口もつけずに立ち去ります。

翌日、二日酔いで署に行くと、不審な人物を目撃したとテレビの修理人のテリーが情報を提供します。

それから数日後、偶然、フランクとヘレンはグロッサリーストアで再会します。

ヘレンは、広告の詩がフランクのものでないことを問いただします。

フランクは、詩は自分が書いたものではなく、母親が父親にあてたラブレターを、引用したことを告白します。その夜、二人はバーで語らいます。

ヘレンは、ひどい男とばかり付き合ってきたが、勇気があれば立ち直れると話します。フランクも結婚を夢見たが、うまくいかず仕事だけの人生で中年になったが、夜が深まると人恋しくなると話します。

二人はお互いの人生を経て、愛の海へ向かいそうな気配です。

彼女だけが指紋を採集できてなく危険だ、とのシャーマンの忠告もむなしく、その夜、二人はフランクのアパートで体を合わせ朝を迎えます。

ヘレンが帰った直後に、アパートのベルが鳴ります。ドアを開けても、誰もいません。エレベーターが閉まる様子に人の気配を感じ、フランクは不審に思います。

フランクは、ヘレンの勤める靴屋に訪れます。そこに、二人組のチンピラがあらわれます。フランクは、鋭い視線で威嚇しながら退却させますが、同時に、刑事であることが、ヘレンにばれてしまいます。

それでもフランクとヘレンの恋はなんとか進んでいきます。

フランクは、ヘレンをグロッサリーストアに呼び出し、その夜はヘレンの家に泊まります。

明け方に、帰ろうとするフランクは、レコード箱の中に“シー・オブ・ラブ“を見つけます。

このレコードが好きなんだとフランクが取り繕うと、ヘレンは、もう何年を聞いておらず、お値打ち品になるのを期待して保存していると応えます。

3つの殺人事件には、つねに「シー・オブ・ラブ」のレコード盤がありました。

フランクの疑惑は深まります、それでもフランクはヘレンへの恋に落ちていきます。

恋をしながらも、ヘレンの疑いが晴れないフランクは、彼女のバックから社会保障カードを手に入れ、コンピュータで犯罪記録の照合を行いますが、ヒットせず、ひとまずは安堵します。

それでも、ヘレンが殺人犯かもしれないとの疑いは続き、悩むフランクですが、やはり彼女を信じる決心をします。そして気持ちを伝えるためにヘレンの家に向かいます。

一緒に暮らしたいと告白し、夜も眠れぬくらいに思いが真剣であることを彼女に伝えます。

母親にきちんと話し、了解を得たいと応えるヘレンでした。

ところが、フランクの眼に、死んだ3人の投稿記事をマーキングした切り抜きが、無造作に台所の冷蔵庫に貼ってあるのが、飛び込んできます。

瞬間、フランクの疑惑は確信に変わります。

真剣な打ち明け話から一転、つれなくCatch you later!(じゃ、また!)と軽い言葉を残し帰ります。

Catch you later!殺人の予兆が忍び寄ります。

ここからクライマックスを迎えます。

ヘレンは、深夜にフランクを訪れます。ほのかな灯かりしかないアパートの廊下は殺人の予兆を感じさせミステリアスな空気感を高めていきます。

ヘレンはフランクに尋ねます。

Catch you later?(じゃ、また?)。とは、どういう意味なのか、一緒に暮らそうと真剣な話をしに来たのではなかったのか、どうして軽くいなすのかと。

ヘレンは、フランクの好きなものを持ってきたと“シー・オブ・ラブ”のレコードに針を降ろします。

いよいよ殺人の秒読みです。錯乱するフランクはヘレンを疑い、尚、恋する気持ちもあり、彼女を詰問し罵声を浴びせ、ついには追い返してしまいます。

ヘレンが出ていった後に、すぐにベルが鳴ります。ドアを開けると、大男が押し入ってきて、怪力でフランクをねじ伏せます。

そしてベッドにうつ伏せに寝かせて、3人の殺害と同じように銃口を向けます。

フランクの必死の抵抗で、男は窓から落ちて死んでしまいます。男は、以前、目撃者として情報提供をしたテレビの修理人のテリーで、実はヘレンの元夫でした。

フランクは、ヘレンと寝て、そしてヘレンを疑っていたこと。いかれたテリーの次が自分だったことで、彼女の気持ちを察し、彼女への思いを諦めようとします。

事件が一段落して、何故、ヘレンがあんな異常な男と結婚したのかと不思議がるシャーマンに、それが男と女っていうもんだ、相手を知ることは容易じゃないんだとフランクが辛そうに語ります。

でもシャーマンはフランクが諦められないことを知っていて、にやりとします。

もうすでに、フランクは愛の海を漂流していたのでしょう。

解説/ここが見どころ!

サスペンスゆえ節々に謎は設定されますが、見どころは、あえてラストシーンをおすすめします。

待ち伏せして靴屋から出てくる傷心のヘレンに渾身の猛烈アタックをするフランク。

はじめは、全く効き目なし、ホトホトあきれたヘレンが生まれ故郷のヨークに帰ると告げます。

なんて偶然なんだ、ヨークの警察から依頼があって、新鮮野菜を買い占めてるマフィア組織があり、自分もヨークへ行く予定だから、そこで一緒に暮らそうと話します。

根負けしたヘレンは、あの少し口をゆがめ笑いを浮かべた表情でフランクを許します。

そして、二人はニューヨークの喧騒に消えていきます。

この間、3分程度の演技です。とてもお洒落な会話としぐさの連続です。

大貫禄の男優アル・パチーノを前に、女優エレン・バーキンの演技もスタイリッシュで完璧です。

このラストシーンを大好きな方も多いのではないでしょうか。サスペンス映画ながら、この会話とヘレンの表情の変化が、ニューヨークのアヴェニューに続きます。

大都会のたくさんの人々、話すだけではわからないけれど、それでも信じ求めあう。多くの孤独と危険を背中合わせに、生きています。

アル・パチーノの舞台演劇のようなセリフ回しやたたずまい、さらにエレン・バーキンの雰囲気や存在感。似顔絵にしやすい、口もとを少しゆがめて眼を細める、あのキメ表情が素敵ですね。

映画「シー・オブ・ラブ」ラブロマンスなミステリーサスペンスの傑作です。