映画『スカーフェイス』あらすじと解説/ここが見どころ!

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概要>トニー・モンタナは、キューバから米国に亡命し、チンピラからフロリダの麻薬王に成りあがる。度胸と暴力で上昇するアメリカンドリームの壮絶な生き様。アル・パチーノの迫真の演技、オリバー・ストーン脚本、ブライアン・デ・パルマ監督のカルトなギャング映画。

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登場人物

アントニオ・“トニー”・モンタナ(アル・パチーノ)
キューバからの移民、短気で粗暴な性格、度胸でチャンスを掴んでいく。
エルヴィラ・ハンコック(ミシェル・ファイファー)
フランクの愛人。フランクの死後、新たにボスとなったトニーの妻となる。
マニー・リベラ(スティーヴン・バウアー)
トニーの親友で相棒。女好きの気のいい奴でジーナに好意をもつ。
ジーナ・モンタナ(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)
トニーの妹、母と暮らしていたが次第に派手な生活に憧れる。
フランク・ロペス(ロバート・ロッジア)
マフィアのボス、トニーを部下に取り立てるがやがて反目し敵対する。
オマー・スアレス(F・マーリー・エイブラハム)
フランクの右腕としての部下、トニーに見下されてしまう。
アレハンドロ・ソーサ(ポール・シェナー)
南米ボリビアでコカインを仕切る麻薬王、トニーと友好関係になる。
メル・バーンスタイン(ハリス・ユーリン)
麻薬課の悪徳刑事、フランクに頼まれてトニーを陥れる。

あらすじ(ネタバレあり)

1980年、キューバから反カストロ主義者としてフロリダ州マイアミに紛れ込んだ犯罪の前科があるトニー・モンタナは、入国管理で係員に尋問を受けます。

キューバからマイアミにやってきた犯罪者トニー・モンタナ。

トニーは「どこで英語を覚えた」との質問に、親父がアメリカ出身で「学校で習った、また映画に連れて行ってもらってセリフで覚えた」とうそぶきます。

しかし手には刑務所仲間の印として“殺し屋”を意味する入れ墨があった。

政治犯だと釈明するトニーだが、フリーダム・タウンと呼ばれる避難民収容所に送られる。相棒のマニーも同じ護送車で再会することになる。

1か月後、マニーが、同じ避難民キャンプに収容されているカストロに反目した大物政治家レベンガの殺害を条件に、アメリカのグリーンカード(永住者カード)取得とマイアミでの仕事を紹介されるという、うまい話を持ちこむ。

首尾よくレベンガを殺害し皿洗いの仕事にありつきながら依頼主を待つ二人。

あらわれたのはマイアミのギャングのオマールだった。

田舎者となめてくるオマールに、ガッツ剥き出しのトニー。「でかく稼ぎたい」と言うトニーとマニーは、オマールからコカインの取引を請け負う。

マイアミのモーテルでのコカインの取引に向かうトニーとマニー、そして仲間のチチとエンジェル。トニーとエンジェルの二人が先発するが、コロンビア人の売人に罠をしかけられて、捕われてしまう。

ブツのありかを吐かないトニーに、まずエンジェルが見せしめにチェーンソーで惨殺され、次はトニーに向けられる。間一髪、マニーに救出され、トニーは相手を血祭りにあげブツを手に入れ逃走する。

フランクに認められるトニー、久しぶりの母と妹との再会。

トニーは、コカインと金を持ってボスのフランクに会いに行きます。フランクは、トニーの手腕に「筋金入りの男だ」と慰労し褒めたたえる。

紹介された愛人のエルヴィラを見てトニーは、ひと目惚れをしてしまう。

フランクとトニー達はエルヴィラを伴ってバビロンクラブに行きます。フランクはクラブで遊ぶそれぞれのシマ持ちのマフィアの大物を紹介します。

フランクにとってトニーは味方につけると都合の良い人間でした。

強欲をかかないことと、自分のブツに手を出さないことを戒めて、フランクは、トニーを部下として可愛がります。

金髪美女の愛人エルヴィラは、トニーのことをキューバから来たボートピープルとバカにしていますが、トニーは、いずれ自分と一緒になると意気がって見せます。

トニーは、フランクの持っている地位、権力、金、女、贅沢な暮らし、すべてが憧れでした。

トニーは、エルヴィラと踊りながら、既にボスのフランクの器量を見破っており、自分がボスの座も、エルヴィラも手に入れる野望をひそかに抱きます。

トニーは、もっと上に駆け上がり“世界を手に入れたい”と思うようになります。

フランクの仕事を手伝い羽振りの良くなったトニーは、久しぶりにフロリダに暮らす母と妹を訪ねます。

長い刑務所暮らしを経て、久しぶりに会った妹のジーナは19歳に成長し美しい女性になっていました。妹に高価なネックレスの贈り物、母親には大金を渡し、今の暮らしからをやめて新しい暮らしをしようと誘うトニーですが、母親はトニーのヤクザ丸出しの姿に迷惑し娘を守ろうとします。

家を追い出されたトニーは、そっとジーナに金を渡して帰ります。

麻薬王ソーサーとの大きな取引の成功で信頼を勝ち得る。

フランクの依頼で、ボリビアの麻薬取引を手伝うことになります。トニーはオマーとともにボリビアのコンチャバにあるコカイン精製工場を訪ねます。

相手は、アレハンドロ・ソーサ。アンデス山脈一帯の麻薬ビジネスを牛耳る大物でした。

ソーサは、上物の麻薬を大量にアメリカのマーケットで捌くべくパートナーを探しています。取引の大きさにしり込みするオマーをよそにトニーはぎりぎりの条件をソーサと詰めていきます。

自身が外されていることとフランク不在での商談に苛立つオマー。検討するとの返答で席を立つオマーだが、タレコミ屋との内通でオマーは用意された送迎ヘリの上空から突き落とされる。

ソーサは役立たずのオマーを切ってトニーとサシで話すことをすばやく選択します。

トニーは、その度胸で、微動だにせずソーサの信頼を勝ち得る。

ソーサは、トニーをパートナーとして認め、「絶対に裏切るな」とだけ釘をさします。

新しいボスの誕生と、エルヴィラを奪い取るトニー。

トニーは、フランクにソーサとの取引条件を伝えるますが、慎重になるフランクを見限ります。フランクも、トニーに対して独断専行でビジネスをすすめ忠誠心が無いことに怒りを表します。

二人の関係は次第に険悪になっていきます。

フランクと切れて、自分でやっていくことを決意したトニーは、正式にエルヴィラに求婚します。
エルヴィラは迷っていたが、トニーは決めていた。

ある日、トニーはマニーと一緒にクラブに行くと、男と踊っているジーナを見つける。トニーからの金を手にしたジーナは派手になりチンピラと付き合っていました。

心配するトニーに、麻薬課のメルが肩をたたく。

悪徳警官のメルは、トニーのレベンガ殺しやモーテルでのコロンビア人殺害の件をタレコミ情報で得て、これをネタにトニーをゆすり法外な賄賂を要求する。

そこに、フランクがエルヴィラを連れてやってきます。

トニーは、フランクのタレコミと知り、挑発的にフランクの前で、プロポーズの答えを確認するためにエルヴィラに言い寄る。激昂するフランクに、トニーは平然とした態度で戦いを挑みます。

次第に、トニーは、好戦的になっていく。

ジーナを心配するトニーは、チンピラを追い払い、コカインをやっていたジーナを張り倒す。マニーは、ジーナを車で家まで送り「トニーにとってきみだけが清いんだ」とトニーの気持ちを伝え諭します。

トニーは、自身が成りあがっていくなかで、イラつき、独善的になり、焦燥感にかられ仁義を破り、危険になっていきます。

フランクは、すぐにクラブに二人の殺し屋を送り込みトニーの命を狙う。

派手に乱射されるマシンガン、逃げ惑う客、飛び散る血、クラブは大パニックで修羅場と化す。トニーは何とか刺客を始末して難を逃れる。

トニーは、マニーらとともに、フランクのもとを訪ね、ケリをつけに行きます。

そこには、フランクと悪徳警官のメルもいて、即座にトニーは状況を理解する。

トニーは部下に、3時きっかりに計画が失敗したとの電話連絡を入れさせ受話器で応えるフランクの嘘を確信する、自分が暗殺を命令したことを告白し命乞いするフランクを、マニーに命じて殺させ、予想通り結託していた悪徳警官のメルもトニーは殺してしまいます。

トニーは、エルヴィラを寝室に迎えに行く、事情を察したエルヴィラはトニーとともに生きることを決意する。

空には飛行船が飛び “World is yours(世界を君に)”の文字が浮かび、トニーはじっとそれを見ている。

新たなフロリダの麻薬王トニーと周囲との確執。

フランクに変わり覇権を手に入れたトニーは新たなフロリダの麻薬王としてソーサとパートナーを組み、ビジネスを拡大していきます。

新たに“モンタナ興行”を立上げ、エルヴィラとも正式に結婚し大豪邸を建てる。

全てが順調で絶好調でした。

ビジネスは拡大し、扱う金額はますます膨れ上がり、マネーロンダリングに銀行の手数料も上がっていき身の安全のために屋敷の警備費用も膨大になる、トニーは、過度に神経質になっていきます。

エルヴィラとは夫婦喧嘩が絶えず、あまりの侮辱にエルヴィラはトニーを「キューバ流れの成り上がり」となじる。マニーとの関係も強権的で、昔からの相棒ではなく部下としての扱いにマニーも辟易とする。

トニーは自分以外には誰も信用できなくなり、自身もコントロールできず、次第に危うい精神状況になっていきます。

そんな時、銀行の高手数料に対して、マニーの薦める個人で金を洗浄するユダヤ人と組むが、トニーは突然、脱税の容疑で逮捕される。これは、FBIの仕組んだ囮捜査だった。

多額の保釈金を積んで仮釈放されたトニーだが、弁護士からどうあがいてもマネーロンダリングでの脱税の罪で懲役は免れないことを聞かされる。

ソーサとの全面戦争、生き様としての壮絶な死

トニーは、ソーサに呼ばれてボリビアを訪れる。

そこで紹介されたのはボリビアとアメリカの政界、財界、軍の要人たちだった。彼らはソーサの麻薬ビジネスに加担して私腹を肥やしていた。

ソーサは、トニーの懲役の一件を解決する代わりに、自身の問題の解決の手助けを求める。

ソーサの抱える問題は、アメリカの麻薬撲滅委員会が捜査に乗り出しており、アメリカとコロンビアの麻薬の取引が、表ではトニーの問題になっているが、裏では政界、財界、軍関係者の癒着であり、ソーサと関わりのあるボリビアとアメリカの要人たちが疑われていることだった。

近々、国連議会の委員会でジャーナリストが演説をすることになっており、その構造が明らかになる前に、口封じにその男を暗殺するようにとの依頼だった。

トニーは、この暗殺を引き受ける。

トニーは、フロリダに戻り高級なレストランでエルヴィラとマニーと食事をするが、自身の収監の心配もあり荒れて、多くの一般客の前でエルヴィラに口汚く罵り辱めを与える。

あまりの侮辱に、ついにエルヴィラはトニーの元を離れる。成功をおさめながらもエルヴィラとの仲もうまくいかず、懲役への不安と苛立ちもあり次第に破滅的な道を歩み始める。

トニーは、フロリダをマニーに任せ、ニューヨークに飛ぶ。エルヴィラの消息も知れず、マニーも連絡が取れない状況にイラつく。

ニューヨークにやってきたトニーは、ソーサの部下アルベルトと組み計画に取りかかる。

首尾よく車に爆弾を仕掛けるが、あいにくその日だけ標的の男は妻と幼い娘二人が車に同乗した。
トニーは計画を一旦、中止しようとするが、アルベルトは命令通り爆弾のスイッチを押そうとする。
頭にきたトニーは、アルベルトを撃ち殺してしまう。

これは、明らかにソーサへの裏切り行為となった。

予定通り、国連演説が行われボリビアとアメリカの麻薬ルートは世界中にテレビを通じて暴かれた。
そして車に仕掛けられた爆弾も発見され、捜査の手はソーサに及びだした。

ソーサは約束を破ったトニーに憤り彼の失敗を問い詰める、トニーも興奮して受けて立つ。

二人の間は完全に決裂し全面戦争となった。

トニーは、大量にコカインを吸引し、もう正気の状態ではなくなっている。

フロリダに戻り、母の家を訪ねジーナの心当たりが分かる。すでにジーナは家を出て別の所で豪奢な生活をしていた。母は落胆し、トニーに責任を問い「お前の触れるものは全て腐っていく」となじる。

ジーナを探しあてるとそこにはマニーもいた。マニーは、ジーナと昨日、結婚したばかりで二人でトニーを驚かすつもりだった。勘違いしたトニーは逆上して生涯の相棒だったマニーを撃ち殺してしまう。

半狂乱になったジーナを車に乗せ自分の屋敷に向かう。

トニーは既に自分自身を見失い、マニーへの後悔でコカインをますます大量に吸引する。そこへ狂人と化したジーナが微笑みながらトニーに発砲し、トニーは右足を撃たれる。

知らないうちに屋敷にはソーサの部下の殺し屋がたくさん侵入してきた。ベランダから飛び込んできた刺客がマシンガンを乱射してジーナを撃ち殺す。トニーはジーナを抱きかかえながらマニーの事を詫びる。

すでにトニーの部屋の外には、たくさんの殺し屋が取り囲んでいる。トニーは復讐にもえランチャーでドアに集まってくる殺し屋めがけて大砲をぶちかます。

「これが挨拶だと!」と叫びドアごと敵をぶっ飛ばす。

2階から階下を見下ろし、マシンガンを相手めがけて乱射しつぎつぎに刺客を殺し壮絶な戦いを繰り広げる。自らも被弾しながら相手を殺戮していくが、背後から静かにすり寄った刺客がトニーにとどめを刺す。トニーは階下の噴水に落下し絶命する。

そこに飾られたオブジェには「世界はきみのもの」と刻まれていた。

解説/ここが見どころ!

“The World is Yours”(世界はきみのもの)トニーの生き様と死に様

この映画はマフィア、ギャングがテーマですが、何よりもアル・パチーノ演じるトニー・モンタナが、チンピラからフロリダの麻薬王にのし上がり、そして破滅するまでの演技が見もので、その卑しさや生き様がギラギラと描かれており圧巻です。

この男の特徴は、<長所>は上昇志向、チャンスを逃さず、ガッツと命知らずの行動で、信頼を勝ち得ていく、<短所>は、短気なことと、下品な言葉遣いと、破滅志向であること。

仮にサクセスを掴むために、この映画で見た必要な要素とは、何かという視点で見てみますと。

<長所>については

【打たれ強い、凹まない】アメリカの入国管理局の尋問のシーンで、チンピラの匂いをぷんぷんとさせながら、「ジェームズギャグニーやハンフリーボガードの映画を観て映画を覚えた。俺は政治犯だ」と答えるシーンは、最初の掴みとしてすごい。相手を喰った態度です。

【根性を見せる、屈しない】チェーンソーの刃を向けられながら、絶体絶命の中で不屈の精神で相手に唾をかけ耐えてみせるシーンは、残虐な凶器と化すチェーンソーの唸る音に引き込まれ迫力満点。

【信用、自分事で決める】ソーサと麻薬の受け渡し条件を交渉するとき、一歩も引かず度胸の据わった態度でソーサに受け入れられるシーンでは「汚いやつ以外に汚い手は使わない、おれの武器はガッツと信用、それを汚すことはしない」といい、ソーサから「きみはハートでしゃべっている」と言われます。

【勝つ意思、見せ場】ラストのコカインを大量に吸引しながら意識も朦朧に勝ち目のないほどの人数の相手に全くひるむことなく一人でマシンガンを乱射するシーンは圧巻。「Say hello to my little friend!(これが挨拶だ!)」と叫びながらミサイル級の銃弾でドアをぶっ飛ばすシーン、そして敵を蹴散らす。肝っ玉と一緒にかっこよさは必須ですね。

【チャーミング・道化】そしてエルヴィラとダンスを踊るシーンやデートに誘うシーンで帽子をかぶっておどけて見せる愛嬌をだすシーンなど強面以外の表情も演じます。エルヴィラはトニーに「残念ね、いいひとになれたのに」と女性を喜ばせるトニーの愛嬌を知っていました。

大口をたたく背後で至近距離から撃たれプールに落下して最期を遂げるシーンは印象的で、“世界はきみの手”のオブジェがその死を見とどけている。

壮絶な生き様と死に様のトニー・モンタナをアル・パチーノが完璧に演じ、その魅力を3時間の作品にもかかわらず時間を忘れさせてくれます。まさに名優としてすべてのシーンにおいて存在感があります。

監督はブライアン・デ・パルマ、脚本はオリバー・ストーン

『スカ―フェイス』(原題:Scar Face)は、1932年のギャング映画『暗黒街の顔役』(原題:Scar Faceに同じ)をオリバー・ストーンが脚色したリメイク版です。

その脚本をブライアン・デ・パルマが気に入って監督をします。

『暗黒街の顔役』は、アル・カポネがモデル。アル・カポネは、顔に傷があったことで「スカーフェイス」というニックネームがありました。皿洗いから次第に犯罪の世界へ入り顔役となっていきます。

本作では、オリバー・ストーンは1983年の社会情勢を踏まえ“酒の密売”が、“コカインの密輸”、“イタリア系移民”が“キューバ移民”、舞台が“シカゴ”から“マイアミ”と変わっていますが基本的な話の流れは変わりません。

1983年の社会情勢とは、キューバのカストロ政権打倒を目論むアメリカが、キューバからの亡命者を受け入れるとするもので、そのためにマリエリ港を開放。

その数は12万5000人。ところがこれに乗じて、カストロは2万人以上の犯罪者や政治犯など厄介者を追放した史実に注目しました。この出来事はフロリダが悪の温床となった要因と言われています。

ブライアン・デ・パルマの作品は、暴力やカルトのシーンがしばしば話題になり、作風には、長回しが多くあります。この映画の公開当時は、決して評価は高くなかったのですが、現在ではマフィア映画のカルト的な傑作として評価が確立しています。

映画『スカーフェイス』1983年公開のアメリカ映画
1994年ゴールデングローブ賞、作曲賞、助演男優賞、主演男優賞ノミネート
アル・パチーノの演技が見ごたえあるマフィア映画の傑作です。