概要>タランティーノ監督のくだらない話(パルプフィクション)と題したギャング映画。オムニバス形式で、始めと終わりが円弧のように繋がる。セリフが楽しめて、お洒落なユマ・サーマンとトラボルタのダンスシーンは最高。全てがファッショナブルな作品。
登場人物
ヴィンセント・ベガ(ジョン・トラボルタ)
殺し屋。ギャングのボス、マーセルの部下で短気で命令されるのが大嫌い。
ジュールス・ウィンフィールド(サミュエル・L・ジャクソン)
殺し屋。マーセルの部下で、人を殺す前に旧約聖書の一説を暗唱する癖がある。
ミア・ウォレス(ユマ・サーマン)
マーセルの妻。元女優、お世話役の部下ヴィンセントとラリって騒動を起こす。
ブッチ・クーリッジ(ブルース・ウィルス)
プロボクサー。マーセルに八百長試合を依頼され従わず恋人と逃避行をする。
ファビアン(マリア・デ・メディロス)
ブッチの恋人。子どもっぽくて泣き虫、ブッチの大切な金時計を忘れる。
マーセル・ウォレス(ヴィング・レイムス)
ギャングのボスで異常なほどに妻を愛している。カマを掘られる恥辱を味わう。
パンプキン(ティム・ロス)
強盗の常習犯の男で、ガールフレンドのハニーとファミレスを襲うことにする。
ハニー・バニー(アマンダ・プラマー)
パンプキンのガールフレンド。ファミレス強盗を二人で決行してしまう。
ジミー(クエンティン・タランティーノ)
ジュールスの友達で、朝早くにやっかいごとを持ち込まれて迷惑顔で対応する。
ザ・ウルフ(ハーヴェイ・カイテル)
本名はウィンストンという名で、完璧な仕事をするよろずな事件の処理屋。
あらすじ(ネタバレあり)
物語はオムニバス形式で進行し、時系列もバラバラで挿話もあるが、全体を通して繋ぎ変えをすることで筋が分かる仕組みになっています。あらすじよりも、それぞれの短編ストーリーの話を説明していきます。
プロローグ:
とあるレストランの朝、チンピラのカップルが食事をしながら話をしています。
男の名前はパンプキン、恋人の名前はハニー・バニー。
男は最近の強盗の事情を説明します。銀行を襲うのも銃ではなく携帯電話を使う。人質を殺すと電話のそばで脅すのが一番とか。酒屋は経営者に東洋人が多く英語が通じないので面倒とか、給油所も警戒しているなど・・・。
そう考えるとファミレスは狙いめで、安い賃金で働くスタッフが命懸けで止めるなんてことは無いし、きちんと保険もかけてあるし、店のお金と客のお金が両方狙えるし、頭のきれるパンプキンにハニー・バニーは感動します。
そして、パンプキンとハニー・バニーは怒声を発し、仕事を始めます。
「動くな、強盗だ!一人残らず脳みそをぶっ飛ばすぞ!」
所変わってある日、ギャングの殺し屋のヴィンセントとジュールスは、組織を裏切り黒いアタッシュケースを横取りした青年たちを殺しに向かいます。
途中、ヴィンセントはアメリカとヨーロッパのハンバーガーの違いなどを、うだうだと会話をしながら実は、自身がボスのマーセルの若妻ミアのお守りを仰せつかったことを話します。
ジュールスは、ミアの足をマッサージをした男が4階から叩き落されて言語障害になった事実を伝えます。マーセルは異常なほどに妻を愛しています。ヴィンセントは、お守りを頼まれた自分は大丈夫かと内心不安に思います。
ジュールスは組織に背き横取りをした青年たちを容赦なく殺害します。
彼は信仰心があり必ず暗記している旧約聖書の一説を述べて、復讐の懲罰を与える儀式としています。
ヴィンセント・ベガとマーセル・ウォレスの妻
VINCENT VEGA & MARSELLUS WALLACE’S WIFE
ヴィンセントは売人のランスから上物のヘロインを手に入れさっそく味わい、その足でかねてボスに頼まれていたミアの世話のために彼女の家に訪れます。
ミアもヘロインを味わい、二人は外出。スターそっくりさんを集めたレストラン “ジャック・ラビット・スリム” に着きます。
ヴィンセントは何とか話題をつくろうとミアの女優時代の話を持ちかけますが、話題は広がらず退屈な沈黙の時間が続きます。
ヴィンセントは思い切って、ミアをマッサージした男が窓から突き落とされた事件の核心を質問します。 ミアが事実をけむに巻く中、ダンスコンテストの案内が始まります。
優勝トロフィーが欲しいミアは嫌がるヴィンセントを誘い、おしゃれなダンスを披露して二人はめでたく優勝し上機嫌のミアをヴィンセントは家まで送ります。
ミアの魅力と誘惑にヴィンセントは何とか自制心を働かせますが、ミアはヴィンセントのヘロインを大量に吸引し気絶し仮死状態に陥ります。
ヴィンセントは慌てて知り合いの売人ランスを頼り、アドレナリン注射を打ち蘇生させます。ヴィンセントとミアは、このことはマーセルに内緒にすることを約束します。
金時計
THE GOLD WATCH
ブッチは試合の控室で夢を見ています。代々、形見として受け継がれた金時計の夢を。それは第2次世界大戦やベトナム戦争を経た勇者として彼の曽祖父から受け継がれた大切なものでした。
ブッチは落ちぶれたボクサーです。ギャングのボスのマーセルと約束した八百長試合に反して、ブッチは相手をぶちのめして勝ってしまいます。
ブッチは弟と共謀して八百長で負けるとの前評判を流し、オッズがはね上がります。勝利で大金を手にしたブッチはタクシーに乗って逃亡し、マーセルは手下に彼を殺すよう指示します。
恋人のファビアンが待つモーテルにブッチは逃げ込み、朝、逃避行をしようとしますが、金時計を恋人が忘れていることに気づきます。
アパートに金時計を取りに戻るブッチは、トイレから出てきた手下のヴィンセントに遭遇し射殺。
帰路に通りかかったマーセルを車で轢きます。反撃するマーセルとブッチは質屋にもつれ込みますが、ここで変態趣味のある質屋の主人に監禁されてしまいます。マーセルは、質屋の主人とその友人にカマを掘られ凌辱されますが、ブッチはマーセルを助けます。
マーセルはこの恩に報い八百長の因縁を許し、カマを掘られたことを他言無用とすることを条件に、ロスに二度と顔を出さないよう命じます。ブッチはファビアンと共に街を出ていきます。
ボニーの一件
THE BONNIE SITUATION
プロローグで組織を裏切った2人の青年から黒いアタッシュケースを取り返したヴィンセントとジュールス。もう一人、トイレに潜んでいた3人目の青年が至近距離から銃を撃ちますが、銃弾は外れて全く当たりませんでした。
青年を仕留めたジュールスは、その場にいた知人の黒人マーヴィンと3人で車に乗ります。
ジュールスは弾が当たらなかったのは、神の力が介在したからだと言います。
奇跡が起こったとしか考えられないジュールスは、今日限りで足を洗うと言いだします。
ヴィンセントはふざけて銃口を後部座席に乗るマービンに向けながら話をしていますが、誤って銃の引き金を引いてしまいマービンの頭をぶちぬき殺してしまいます。
とりあえず血で汚れた車と死体の始末にジュールスの友人ジミーの家に行き処理をします。恐妻家のジミーは予期せぬ彼らの訪問に激怒し、女房が帰るまでに処理をしろと苛立ちながら言います。
ジュールスはマーセルに相談し、マーセルから掃除屋のウルフが派遣されました。
ウルフの指示で、ヴィンセントとジュールスはマーヴィンの吹っ飛んだ脳みそや車内に飛び散った血糊をふき取りダークスーツから間抜けなTシャツと半ズボン姿に着替え、手際よく死体の処理と車の清掃を済ませます。
その後、死体と車はウルフの知り合いのスクラップ業者に引き取られて、跡形もなく無事に処理されました。
エピローグ:
安堵したヴィンセントとジュールスは、朝飯を食べにレストランに訪れます。
ジュールスは、ブタは汚れているがイヌは汚れていないなど、またくだらない話をしながら、弾が当たらなかったことは偶然ではなく奇跡が起こったからだと信じ、足を洗い旅に出て神を探しに行くと言います。ヴィンセントはトイレに中座します。
その時、チンピラのカップル、パンプキンとハニー・バニーが怒声を上げてレストラン強盗をおっぱじめます。(プロローグにつながる)
店の金と客の金を集めるパンプキンですが、ジュールスに逆に抑えつけられてしまいます。
動揺するハニー・バニーをなだめ落ち着かせて、ジュールスはエゼキエル書25章17節を語りパンプキンとハニーバニーに慈悲を与え放免します。
そして、ヴィンセントとジュールはレストランを出ていきます。
