映画『ゴッドファーザーⅢ』あらすじと解説/ここが見どころ!

概要>家族の名誉をかけた荘厳なオデッセイ。誇り、絆、愛、信頼、親子、兄弟、夫婦、組織、忠誠、戦い、安らぎ、隷属、裏切り、かけがえのないものを守るコルレオーネ・ファミリー。PARTⅢは、晩年の苦悩するマイケルの姿。そして家族の崩壊、家名と愛の功罪を描く。

  1. ゴッドファーザーは3部作になっています。
  2. 登場人物
  3. あらすじ(ネタバレあり)
    1. ヴィトー・コルレオーネ財団の寄付で、バチカンの勲章を受けるマイケル。
    2. 財団代表のマイケルの愛娘メアリーとソニーの息子ヴィンセントの再会。
    3. 8年ぶりのケイとの再会と、オペラ歌手を目指す息子アンソニーの成長。
    4. アルテベロの子飼いジョーイ・ザザとヴィンセント・コルレオーネの確執。
    5. バチカン銀行への支援とインモビリアーレへの資本参加をするマイケル。
    6. ペントハウスでのファミリー幹部の襲撃事件とジョーイ・ザザの最期。
    7. 幹部襲撃とバチカンの買収劇の仕掛けの両方を操る黒幕、ルケージ。
    8. マイケルはバチカンで懺悔し、ランベルト枢機卿に神の救いを求める。
    9. 初めてケイがシシリアに訪れ、マイケルの系譜を辿り過去を思い返す。
    10. ランベルトが新法王に、マイケルはヴィンセントにファミリーを継承する。
    11. マイケルに向けられる刺客とバチカンの策略に報復する最後の血の粛清。
    12. 娘メアリーが死に、慟哭するマイケル。後年、シシリーでの孤独な最期。
  4. 解説/ここが見どころ!
    1. コルレオーネの家族の愛情が、ダンスの中に映し出されていく。
    2. ファミリーの名誉とともに、家族の幸せを求め続けたマイケル。
    3. ドンの継承で、恋を捨て暴力を源泉に統治するヴィンセントの時代へ。
    4. PARTⅠ,Ⅱの物語を受けたPARTⅢの最終章のせつないシーンの数々。
      1. マイケルの選択と苦悩について。
      2. 物語を支えるケイの心情について。
      3. マイケルとメアリーと、ケイとヴィンセントについて。
      4. アンソニーが、父マイケルに捧げる古くから伝わる歌について。
      5. そして残酷なほどの人生に、愛する人との思い出だけを残して。

ゴッドファーザーは3部作になっています。

PARTⅠは、

ニューヨーク五大マフィアのひとつコルレオーネ・ファミリーのドン、ヴィトーの時代に繰り広げられるマフィアの熾烈な覇権競いの中で、三男のマイケルは、思いとは裏腹に運命に翻弄されながら新しいドンとなり権力が継承されるまでの物語を描きます。

PARTⅡは、

ヴィトー・コルレオーネが、故郷のシチリアからイタリア系移民としてアメリカに渡り、貧しい労働者からコルレオーネ・ファミリーを築くまでの物語と三男のマイケルに代わりファミリーのキューバへの野望と家族の苦悩がパラレルに展開していきます。

PARTⅢは

家族の幸せを求め、ケイや子供たちとの関係を修復しようとファミリーを非合法から合法的なビジネスに変えようと死闘するマイケルの姿と、立ちはだかる政治やバチカンの伏魔殿のなか崩壊する家族の最期を描きます。

登場人物

マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)
コルネオーネ家の三男、父の後を継ぎファミリーと統率する。
ヴィンセント・マンシーニ(アンディ・ガルシア)
長兄ソニーの愛人の子で、マイケルの甥にあたる親譲りの短気で激情型。
アンソニー・コルレオーネ(フランク・ダンブロシオ)
マイケルの長男、家業につかずオペラ歌手となる。
メアリー・コルレオーネ(ソフィア・コッポラ)
マイケルの長女、ヴィンセントと恋仲になる。
ドン・アルテベロ(イーライ・ウォラック)
マイケルの妹、コニーの名付け親。マイケルと旧知の仲。
ドン・ルケージ(エンリッツオ・ロブッティ)
インモビリアーレの経営陣の一人、バチカンに影響力を持つ。
ジョーイ・ザザ(ジョン・モントーニャ)
コルネオーネファミリーの幹部。アルテベロの子飼い。
ギルディ(ドナルド・ドネリー)
大司教でバチカン銀行の総裁でもあり資金運営を掌る。
フレデリック・カインジック(ヘルムート・バーガー)
アンブロシアーノ銀行頭取でインモビリアーレ買収資金を着服し逃亡。
ランベルト(ラフ・ヴァローネ)
バチカンの枢機卿でトマーシーノの紹介でマイケルが頼る、後に法王に。
ケイ・アダムス(ダイアン・キートン)
マイケルのかつての妻、再婚している。アンソニートメアリーの母。
コニー・コルレオーネ(タニア・シャイア)
コルネオーネ家の長女で、兄弟で最年少マイケルの面倒をみる。
ドン・トマシーノ(ヴィットリオ・デューズ)
シチリアに住むコルネオーネ・ファミリーの後見役、愛されるドン。

あらすじ(ネタバレあり)

ヴィトー・コルレオーネ財団の寄付で、バチカンの勲章を受けるマイケル。

1979年、ニューヨーク。

ネバダからニューヨークに戻ったマイケルは、法王庁からの慈善事業に対する叙勲式に出席する。この場で二人の子どもたちと会いたいと願う。

「この世で一番の宝は富や権力でなく子供だ」とマイケルは手紙に綴る。

マイケルは、父の名をとった「ヴィトー・コルレオーネ財団」の“シシリー復興のための資金”の名目での多額の寄付でバチカンより叙勲されるのであった。

叙勲式には、前妻のケイや息子のアンソニー、娘のメアリー、マイケルの妹のコニー、そしてコルレオーネ・ファミリーの幹部たちも出席した。

マイケルは荘厳に勲章を授かる。そして「貧しき者、病める者に救いの手を差しのべる」ことを誓う。
ギルディ大司教は「全能の神の祝福を、聖なる父と子と聖霊が、永遠に守り給わんことを」と祝福する。

財団代表のマイケルの愛娘メアリーとソニーの息子ヴィンセントの再会。

パーティには、マイケルを祝う顔ぶれが集まる。バチカンの司教やその関係者、大勢のマスコミたちなど盛大に繰り広げられた。コニーが歌を歌い、古参のドン・アルテベッロ、子飼いのジョーイ・ザザ。そして場違いな服装で現れたヴィンセントとその母親。

勲章は、カトリック教徒に送られる最高位のものだが、マスコミはマイケルのファミリーのビジネスについて質問をする。

ヴィンセントは、マイケルの長兄ソニーの愛人の子でファミリーとは遠ざかっており、招待はされていなかったが、コニーの計らいでパーティに押しかけて来た。

メアリー・コルレオーネは、マイケルが溺愛する愛娘である、彼女は財団を代表して御礼のスピーチをする。そしてギルディ大司教に1億ドルの寄付金を渡す。

ハリウッドの大物歌手ジョニー・フォンテーンが、お祝いの歌をマイケルに捧げる。

8年ぶりのケイとの再会と、オペラ歌手を目指す息子アンソニーの成長。

マイケルはケイと8年ぶりに再会する。ケイは、マイケルに息子のアンソニーの事で相談があるという。

アンソニーは「大学の法科を辞めてオペラ歌手になる」と言う。

法科を学ばせてファミリーの仕事をさせようとするマイケルだが、アンソニーの決心は堅い。幼少のフレドの嫌な思い出がある。その強い意思は、まるで若い頃のマイケルのようだった。

アンソニーの進路に反対するマイケルに、ケイは「社会的な地位を得たあなたは、昔より危険だ」と話す。ケイは、マイケルを今でも忌み恐れている。

ケイは「息子を守るためにやってきた」と言う、そして「アンソニーの望む道を歩ませてほしい」と言う、マイケルは、了解する。

次は、ドン・アルテベロが現れる。ヴィトーの古い友人のアルテベロは小切手に100万ドルと署名し、協力を惜しまないと友好の気持ちを伝える。

アルテベロの子飼いジョーイ・ザザとヴィンセント・コルレオーネの確執。

次は、ジョーイ・ザザ。コルレオーネ・ファミリーの一員で手下にヴィンセントを抱えているが言うことを聞かず邪魔である、処分したいがいいかとの確認だった。

マイケルはヴィンセントを呼び、双方で話し合いの決着を促す。

マイケルを侮辱し、ザザの謀略を見抜くヴィンセントは、ザザの耳を噛み切り、マイケルのもとにいたいと嘆願し、マイケルもそれを了承する。ヴィンセントはザザと離れ、マイケルのボディガードとなる。

パーティは続き、フィナーレでマイケルはメアリーとダンスを披露する。

その夜、ヴィンセントのもとに二人の殺し屋が送り込まれるが、ヴィンセントは返り討ちにする。

ヴィンセントとメアリーは、デートでリトルイタリーを歩きながら、祖父のヴィトーが、はじめてジェンコ貿易を起こした時代の話などを交わす。

私生児だったヴィンセントは父親の顔も従妹を知らずに育ったが、ソニーを“街のプリンス”、そしてマイケルを“一家を救った英雄”だと話す。メアリーはヴィトーをまるでアメリカンドリームだと話す。そして、ヴィンセントとメアリーはお互いに強く惹かれあう。

バチカン銀行への支援とインモビリアーレへの資本参加をするマイケル。

ところがマイケルのファミリーのメンバーたちは、この話に、金の臭いを嗅ぎつける。

インモビリアーレをマネーロンダリングの手段として使いたいとアルテベロが幹部の話をとりまとめてマイケルに話す。マイケルは、何としても非合法なビジネスから切れたい、そこで、ファミリーの幹部を集めてこれまでのカジノの収益金をその貢献に応じて公平に分配する会議を招集し、それを機に関係を終えようとした。

バチカンでは法王の体調が重篤で、行事はすべて中止され絶対安静の状況である。

バチカンで株主による最終の裁可の場で、一部がコルレオーネの買収に反対の意を唱える。マイケルの弁護士は、法王庁の票を得て回収は決定していると説明するが、メンバーはまだ法王自身の裁可を得ていないという。

ギルディ大司教は、法王の回復を待とうと言い、株主メンバーのひとりインモビリア―レの取締役会長であるルケージは、代表権を認める代わりにメンバーの言いなりになることをマイケルに強要する。

ペントハウスでのファミリー幹部の襲撃事件とジョーイ・ザザの最期。

ニュージャージー州、アトランティックシティ。

ホテルのペントハウスで幹部会が開かれる。マイケルは幹部たちとの関係に終わりを告げカジノの配当金を公平に分配する。この采配に不満を示すジョーイ・ザザは幹部の面前で礼を失する発言をして、マイケルにつくか、自分につくかの言葉を残して立ち去った。

ザザの後見人のアルテベロは、彼をたしなめるために後を追った。

しばらくすると、ペントハウスが揺れ出し天井を突き破りマシンガンが乱射される。ファミリーの多くの幹部が銃弾に倒れた。ヴィンセントの助けをかりて命からがらマイケルは抜け出す。

テレビは事件を報じ、非合法な組織から足を洗おうとしたマイケルは、引き戻される。大規模な幹部襲撃事件の真相が見えないまま、マイケルは持病の糖尿病の発作がおこる。その中で、ドン・アルテベロが黒幕であることを直感する。

ヴィンセントは、マイケルの仇を討つべく祭りの雑踏の中、ジョーイ・ザザを撃ち殺す。勝手な判断に怒るマイケルだが、ヴィンセントもコニーもネロもマイケルのためをと思ってやったことだった。

マイケルはヴィンセントに、血の気が多く理性を失った父ソニーと同じようなことのないように、そして娘のメアリーと付き合うことをやめるように諭した。

幹部襲撃とバチカンの買収劇の仕掛けの両方を操る黒幕、ルケージ。

マイケルはシチリアを訪れ、ファミリーの後見役であるドン・トマシーノに会う。トマシーノはマイケルが若い頃ソロッツオ殺しの件で匿ってくれた信頼のある父の代からの友人だった。

マイケルは、幹部たちを殺戮した血の襲撃と、バチカンの両方に影響力を持つ人間についてトマシーノに訊ねる。トマシーノは、ルケージなら可能だと語る。

イタリアの政治家のルケージ、銀行家のカインザック、バチカンのギルディ大司教、そこを仲介するアルテベロ。マイケルは、すべてが繋がった。

ただバチカンが相手では手が出せない状況である。法王庁で、味方になってくれる人物、頭かよくて信頼でき顔が広いランベルト枢機卿を引き入れて解決の道を探るしかないと考える。

マイケルは、ヴィンセントをアルテベロのもとに囮として潜入させて内状を探らせる。

ヴィンセントは「メアリーとの仲でマイケルとこじれている」とアルテベロに相談する。そしてアルテベロの懐に入り、ドン・ルケージを紹介され、ザザを使っていたのも彼らが黒幕だったことが判明する。

ルケージは「金融はガンで、政治は引き金だ」と説明しヴィンセントを迎える。

そして、ドン・アルテベロは執拗にマイケルの暗殺を企てる。

マイケルはバチカンで懺悔し、ランベルト枢機卿に神の救いを求める。

マイケルは、ギルティ大司教を信頼して裏切られたことをランベルト枢機卿に相談する。

大司教は銀行を通して政治に資金を流していると話す。ランベルト枢機卿は「ヨーロッパも長くキリスト教に浸っていても精神は中に浸みこんでいない」と言う。

ランベルト枢機卿の薦めで、マイケルは懺悔をする。妻を裏切ったこと、自身が殺人を犯したこと、部下に命じて実の兄を殺したこと・・・

そして、しばらくして病床にあった法王パウロ6世は逝去した。

マイケルは神に懺悔したことをコニーに告げる。マイケルはランベルトを「真の聖職者」だと言い、コニーは「フレドは神に召されたのだ」と言ってマイケルに家族の愛を誓う。

秘かにアルテベロは、シシリーの凄腕の殺し屋のモスカ親子と接触する。

初めてケイがシシリアに訪れ、マイケルの系譜を辿り過去を思い返す。

ケイはパレルモでのアンソニーのオペラのデビューを観るためにシシリーを訪れる。

初めて足を踏むマイケルの父ヴィトーのコルネオーレの地だった。

「シシリーにいるのは危険では」と問うケイに対して、マイケルは「シシリーが好きだ、この国が好きだ、昔からここの人間たちは辛酸をなめてきた、不正に喘いだ。なのに不幸ではなく幸せが来ると信じている。」と言う。

ケイは「私たちみたいに」とそっと返す。

マイケルは「この道を歩むつもりなど無かったが、父親を助けるため、家族や子どもを守るため生きてきたと話す。そして結局、最も愛するきみを失ってしまった。自分は違う人生を夢見ていた」としみじみ話す。ケイも「今でもマイケルを愛している」ことを話す。そして「子どもたちもあなたを愛している、特に、娘のメアリーは」と言う。

ランベルトが新法王に、マイケルはヴィンセントにファミリーを継承する。

そこに、ドン・トマシーノがモスカ親子に暗殺されたとの報が入る。

悲しみに沈むマイケルと復讐の命令を待つトマシーノの部下たち、やはり裏世界から抜け出せていないことを知るケイ。

コンクラーヴェで、ランベルト枢機卿は新法王に選ばれてヨハネ・パウロ1世となった。ランベルト法王は積極的に改革を行うと宣言し迅速に動き出した。“銀行界のドン、カインザックが行方不明に、多額の現金と重要書類も紛失”と新聞は報じる。バチカン銀行に対する疑惑が浮上する。

マイケルはトマシーノの棺に涙する。ヴィンセントは、すべての黒幕はルケージで、アルテベロやギルディ大司教を操り政界の上層部に勢力をめぐらし采配を振るっていることをマイケルに報告する。

マイケルは、すでに精神と肉体の両面において限界に来ていることを気づき決心する。

ヴィンセントにドンの座を継承する。そして、メアリーとの思いを断ち切ることを約束させる。

マイケルに向けられる刺客とバチカンの策略に報復する最後の血の粛清。

パレルモのオペラハウスでアンソニーのデビューが始まる。大勢の観客にまぎれて、殺し屋のモスカ親子も忍び込んでくる。

ドン・アルテベロは、名づけ親のコニーに誕生日のお祝いに手づくりのお菓子をもらう。

マイケルは、新たな法王がインモビリアーレの契約裁可を行ったことを聞き、思わぬ進展を喜ぶ。ヴィンセントは、マイケルを守るために厳重な警護の体制を敷く。

メアリーがヴィンセントのもとを訪れるが、マイケルの言葉通りにメアリーと別れる。

ヴィンセントはメアリーに言う、「きみとは違う道をいく、おれを忘れろ」と。

そしてヴィンセントの命を受けて殺しの粛清が始まる。

金を横領して行方をくらませたスイスの銀行幹部カインジックを窒息死させて、首吊り自殺を装う。ネリは、バチカンに行きギルディ大司教を教会の中で銃を放ち螺旋階段から突き落とす。カロは、ドン・ルケージのもとへ「マイケルからのメッセージだ」と言ってルケージの眼鏡をつかみ、その柄で首を突き刺し殺す。

しかし会場では、刺客がせまってくる。モスカ親子によって、ヴィセントの部下たちが次々に殺されていき、いよいよ銃口はマイケルを標的に狙う。

同時に、バチカン教会でも新法王に危険が迫っていることを内通者から報告を受ける。

そして新法王は、大司教ら敵の手で毒をもられて殺害される。

高鳴るオペラのクライマックスの中、アルテベロは、コニーが贈った毒の入った菓子を食べながらゆっくりと永い眠りにつく。

娘メアリーが死に、慟哭するマイケル。後年、シシリーでの孤独な最期。

アンソニーのオペラは大盛況で終わり礼賛を受けオペラハウスの階段を降りて行く。

ケイもマイケルも、メアリーもアンソニーを誇らしく称えます。

その時、賑やかな歓声の中を銃声が突き抜けます。モスカ親子の放った銃弾が、マイケルの胸に命中します。そして2発目の銃弾は、ヴィンセントのことでマイケルに駆け寄ったメアリーの胸に命中します。

メアリーは「パパ」とひとこと言ってその場にくずれ落ちます。

マイケルは最愛のメアリーを失います、驚愕し慟哭するマイケル。

そして数年後、マイケルはシシリーで追憶と孤独のなかで死んでいきます。

解説/ここが見どころ!

ファミリーの “血の掟”と、覇権争いをマフィア映画として楽しませてくれますが、基底には『家族の血と名誉』があります。。PARTⅢは、合法的なビジネスへの執念と半生を振り返り苦悩する晩年のマイケルの姿と最愛のメアリーの死、家名と愛の功罪が描かれます。

映画「ゴッド・ファーザー」は、どんなメッセージなのか。

それは『人が愛し、ともに生き、家族をつくる』というシンプルで難しく、多くの人が共有できるテーマです。そのかたちに、「ヴィトーの時代」と「マイケルの時代」そして「ヴィンセントの時代」があり、家族の価値観の違いがあります

コルレオーネの家族の愛情が、ダンスの中に映し出されていく。

PARTⅠ.Ⅱ.Ⅲを通して、パーティで踊るシーンは愛を象徴します。

父親ヴィトーが娘コニーの結婚披露宴で花嫁の父として踊るシーン、マイケルが恋愛時代のケイと未来を誓い踊るシーン、シシリーで結婚したマイケルとアポロニアが村人に祝福されて踊るシーン、レイク・タホの邸宅でマイケルとケイの夫婦が踊るシーン。

そしてヴィトー・コルレオーネ財団の祝賀パーティで、愛娘のメアリーと父親マイケルが笑顔で踊るシーン。如何なる困難をも乗り越えて、お互いを信頼し尊敬し愛していこうとする家族の愛情が大切な思い出として刻まれています。

ファミリーの名誉とともに、家族の幸せを求め続けたマイケル。

三部作の最終章のマイケルは、孤独と病魔の中で家族の関係を修復すべく努力をします。

ケイとの結婚のときに約束した非合法から合法のビジネスへの転換のためバチカンに財団を通じて関与し、買収で民間企業のインモビリアーレのボードメンバーとなることを模索しますが、イタリア政治と宗教とマフィアの癒着という複雑な壁に遮られます。

最期は、新しい法王の改革の下に勝利を得ますが、しかしその代償はあまりに大きく、最愛の娘メアリーを失ってしまいます。

いつも敵は最愛の人を奪っていきます。マイケルは、生涯、安堵は無く忌み恐れられて、最後は、シシリーで孤独に死んでいきます

ドンの継承で、恋を捨て暴力を源泉に統治するヴィンセントの時代へ。

ヴィンセントは、マイケルの兄ソニーの愛人の子として産まれます。

それは、かってのヴィトーとは違いますが、それでも孤独で不遇な生い立ちです。その背景が、ヴィンセントに非情さとふてぶてしさを併せ持たせます。親譲りの短気で血の気の多い性格にマイケルは心配します。ザザを組織の裏切り者と直感し抹殺します。

今度の血の粛清の実行は、ヴィンセントです。ドン・アルテベロとドン・ルケージ、カインザック、ギルディ大司教とあざやかです。

そしてドンの座につくことの代償として、メアリーを諦め、ヴィンセント・コルネオーネとしてファミリーの三代目の領袖になります。

PARTⅠ,Ⅱの物語を受けたPARTⅢの最終章のせつないシーンの数々。

PARTⅠ.Ⅱは、ヴィトーとマイケルの青年と壮年の時期であり、生命の活力に溢れています。PARTⅡでは、ファミリーを拡大していく物語と、家族との関係がヴィトーとマイケルでは対照的に描かれます。16年を経て制作されたPARTⅢ、ここに登場するのは老いて苦悩するゴッド・ファーザーのマイケルです。この最終章にこめられたコルレオーネ・ファミリーの壮大な家族の物語を確認しておきます。

マイケルの選択と苦悩について。

PARTⅢの中で、マイケルは、ケイに向かって「自分は後を継ぐつもりは無かったが父親の危篤や家族の危機に直面してファミリービジネスに入り何とか合法化しようと努力して家族を育て守ってきた」と言います。さらにランベルト枢機卿に懺悔をし、トマシーノの棺に「何故、あなたは愛され、自分は恐れられるのか」と苦悩します。

ここに『運命の翻弄』という“そうありたくは無いが、そこに直面したらどういう態度をとることが正しいか”という点で捉えた場合に、ある種、善悪を越えます。

物語を支えるケイの心情について。

ケイは、マイケルがファミリーのビジネスに関与しない前提での付き合いでした。特に、子どもが危機にさらされることは母親としては防衛本能が働きます。さらにフレド殺しも実の兄弟を殺すという信じがたい行為が忌み嫌う大きな理由です。ケイには、人形劇で見る“シシリーの名誉”が理解できません。社会性の意味で彼女には常軌を逸しています。ただケイは、きっとマイケルが被った苦悩を理解しています、ゆえに“名誉”に固執するマイケルを理解できず、それでも優しい本心のマイケルへの愛情があります。

この物語は、濃淡はあれずっと続くケイのマイケルへの『愛情』に支えられています。

ただ、ケイには『家族の名誉』が理解できないのです。それはシチリアの土着の血のつながりにしか見えないのです。

マイケルとメアリーと、ケイとヴィンセントについて。

ヴィンセントからメアリーを引き離すマイケルは、マフィアのビジネスの行く末を知っています。だからドンになる代償なのです。ヴィンセントは、きっぱりと「きみとは違う世界で生きる、パパを恨むな」と言います。そしてヴィンセントこそが、最もドンの資質を持っているのかもしれません。それは、ソニーには、なかった賢さです。脚本は、見事な構造を見せてくれます。マイケルが、ヴィンセントのような態度であれば悲劇は、起こりませんでした。ただ、メアリーが生きていればその後は、どうなったかは分かりません。メアリーは、「愛し続ける」と言います。メアリーは、若き頃のケイと同じ引き裂かれる立場で、その理由は理解できないはずです。そして、新しい時代のファミリーになるかもしれないと思えるのは、ヴィンセントは、マイケルではなくソニーの血を引き継いでいることです。

アンソニーが、父マイケルに捧げる古くから伝わる歌について。

アンソニーが、ギターの引き語りで、マイケルが好きだというコルレオーネ村に伝わる古いシチリアの歌をマイケルに捧げます。哀切のメロディのなかに、トマシーノの顔からカメラは動いてマイケルの顔を捉えます。それは、歴史の中で貧しく虐げられたシチリアの人々、それでも幸せを信じる人々、自分の身代わりなった若く美しいアポロニア、やはりマイケルにはケイには理解できないシシリーの血が流れているのです。そしてヴィンセントとメアリーをカメラは捉えます。時間の流れが、ファミリーの物語を、マイケルの人生を思いめぐらせます。

そして残酷なほどの人生に、愛する人との思い出だけを残して。

家族とコルレオーネ・ファミリーの2つを守ろうとするマイケルは、何とか上に登れば願いが実現すると懸命ですが、登れば登るほど上はさらに汚いことを知ります。そして、最後には最愛のメアリーを失います。大きな人間愛がテーマのゴッド・ファーザーですがハッピーエンドではありません。寧ろ、マイケルの孤独な死は残酷なほどです。

しかし、観客は、たくさんの愛の言葉やシーンを受け継いだことでしょう。

胸が切なくなるシーンや、理解はできても認められない気持ち、辛いけれど仕方がないと思う気持ち、愛は、そんな気持ちのなかに生きているのかも知れません。

全編をつつむニーノ・ロータの哀切のメロディは、この上なく美しく、エンディングにかかるマスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』は壮大な人間物語を奏で、そしてエンドロールでの”プロミス・ミー・コール・リメンバー”のセンスが素晴らしい。

フランシス・フォード・コッポラ監督、マリオ・プーゾ原作/脚本
映画「ゴッド・ファーザーPARTⅢ」1990年公開のアメリカ映画
マフィアのファミリーを題材に名誉と絆をテーマに映画史上最高の作品です。

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