映画『フォレスト・ガンプ』|素直に生き、感じることの素晴らしさ!

人生はチョコレートの箱、開けてみるまでは分からない。誠実さと足の速さはだれにも負けない知能指数75のフォレストは、ひたむきに生き好奇心と強運で次々に人生が展開する。アメリカ現代史も楽しみながら心で見て心で感じることの大切さを教えてくれます。

解説

心で見て感じることの大切さを、現代史を挿入しながら教えてくれる。

知能指数は低いけれども、好奇心が旺盛なフォレストは人を信じ愛します。

素直に生き、感じることで、周囲と<区別>なく付き合い、<差別>をする人を嫌い、暴力を憎み戦います。

そうして人生はチョコレートの箱と同じ」とママに教わった通り、前に進むことの大切さを実践します。

このフォレストのまっすぐな人間性が、道を拓くことになります。あらすじを追いながら主題を解説していきます。

背骨が曲がりうまく歩けないフォレストは、両足に矯正器具をつけてもらいます。IQが75で、先生は養護学校を薦めますが、母親は普通の子供と同じように育てたいと、公立小学校に入れます。

フォレストはいじめられます。ところが、懸命に逃げていると矯正器具が外れ、思いのままに自由に走れるようになり、風のように疾走します。

ママは “神様の働きは不思議だ”と言います。そしてフォレストの人生が変わります。

フォレストは入学以来、唯一、優しくしてくれたジェニーがいます。彼女とは高校時代まで仲良くします。ジェニーは “ジョーン・バエズ” のような歌手になりたいと言います。

足の速さを買われアラバマ大学へスポーツ推薦で入学します。フットボールチームでは、フォレストは俊足をいかして大活躍をします。

卒業式の日に軍隊にスカウトされ入隊を決意。ここでも唯一、同じアラバマ出身の黒人のバッバが親しくしてくれます。彼は除隊後にエビで商売するのが夢でした。

フォレストはベトナムへ出征します。小隊長のダン・テイラー中尉率いる第4小隊に配属されます。バッバはフォレストに「俺とエビ商売を始めないか?」と誘います。フォレストは、戦地からジェニーに手紙を送ります。最後にはいつも“愛をこめてフォレスト・ガンプ”と綴りました。

ある日、敵のすさまじい攻撃を受けます。フォレストは負傷した戦友を担ぎ上げ、無我夢中で俊足で避難させます。被弾し瀕死のバッハを背中に担いで全力で走ります。エビ採り舟の船長になるはずだったのに「うちに帰りたい」と言い残して死んでしまいます。バッバはかけがえのない親友でした。

フォレストは、軍病院に送られます。隣のベッドには両脚を失ったダンがいました。ジェニーへの手紙はすべて宛名不在で返送されます。病院でピンポンを教わり相性が良く、あっという間に上達します。

ダンは戦場の英雄として死ぬつもりが、救助され両脚を失い生きていく辛さを、フォレストにあたります。みじめで不自由な姿に苦悩するダンは、翌日、帰国します。

フォレストも2週間後に帰国し、勇敢に戦い戦友を救助した功績で、ジョンソン大統領の叙勲式に出席し栄誉勲章を贈られます。

首都ワシントンでは反戦デモの行列に巻き込まれます。ブラックパンサー党の集会で戦争の悲惨さを伝えるスピーチを依頼され、観衆の中にいたジェニーと再会します。ジェニーはUCLAの反戦委員長と付き合っていました。

フォレストはジェニーに想いを伝えますが、相反する立場のジェニーは「私たちの進む道は違う」と言います。

テレビが、アポロの月面着陸を報じるころ、全米代表卓球チームとして中国に「ピンポン外交」を行います。そして中国に行ったアメリカ人としてテレビショーに招かれてジョン・レノンと対談します。

偶然、ニューヨークで両脚を失ったダンと会います。フォレストは、クリスマスをダンと一緒に過ごします。

ニクソン大統領が卓球チームをホワイトハウスに招待し、大統領と会います。ウオーターゲートホテルに宿泊し、向かいのビルの怪しい出来事を警察に通報します。

約束を守り、思いを諦めず、人を愛し続けるフォレスト。

軍隊生活は終わり、故郷のアラバマに帰ります。そして、バッバの家族に会い、墓を参り遺志を継ぐことを報告します。

そして「バッバ・ガンプ・シュリンプ」を設立してエビ漁の事業に乗り出します。船には “ジェニー号”と名前をつけます。

そのころジェニーは、ヒッピーとなってマリファナに溺れていました。フォレストは、行方しらずのジェニーを想い続けます。

やがてダンもエビ漁を手伝います。ある日、ハリケーン “カルメン” が海を襲います。漁船は壊滅的な被害を受けますが、たった1隻、フォレストのジェニー号は嵐に耐えて無事でした。

それから大量続きに恵まれます。バッバ=ガンプ社のエビは売れに売れます。ダンは、フォレストに感謝し、それまで神を信じなかったダンは神と仲直りをしたようです。

ある日、ママが病気だと連絡が入り、癌で死期が近いと知らされます。ママはフォレストに「自分の運命は自分で見つめるもの、神様の贈り物を生かして。人生はチョコレートの箱、食べるまで中身は分からない」と言い残して死んでいきます。

その後、ダンはシュリンプで稼いだ金をフルーツの会社(アップルコンピューター)に投資して “一生食う金に困らない” 大金持ちになります。フォレストも大金持ちになりますが、一部はごっそり教会へ、一部は漁師共済病院へ寄付して、バッバの取り分を彼の家族に渡します。

そして夜、ひとりになるとフォレストはジェニーを想います。

ある日ジェニーが訪ねてきて、二人は昔のように仲良くなります。フォレストはジェニーにプロポーズをします。ジェニーもフォレストを愛し二人はその夜、結ばれます。しかし、翌朝早くジェニーは、フォレストのもとを去っていきました。

成功して大金持ちになったフォレストと、落ちぶれた日々を送るジェニー。二人の間にはあまりに違いがありすぎることを彼女は思います。

放心状態だったフォレストは、なぜか走りたくなります。ジェニーから贈られたシューズを履いてアラバマ州を横断します。彼は、なんの理由もなく走り続けます。

2年間を走り続けアメリカ大陸を横断します。そしてさらに4回も大陸を横断。訳もなく走る彼の後ろをひとりまたひとりと続いて、やがて大勢が彼と一緒に走ります。結局3年と2か月14日と16時間走り続け、そして疲れてアラバマに戻ります。

レーガンの暗殺未遂が行われた日、ジェニーから手紙が届きます。フォレストはジェニーに会いに行きます。ジェニーはフォレストを歓迎し今までのことを詫びます。ジェニーは子供と住んでいて名前は「フォレストjrよ」と話し、父親がフォレストであることを打ち明けます。

「頭はどうなの?」と心配するフォレストに、「とても利口よ、学校で一番なの」と答えるジェニー。

ジェニーは「ウィルスの不治の感染病(HIV)にかかっている」と言います。フォレストは「看病をする」と言います。そうして二人は、ついに結婚を誓い合います。

結婚の祝いにダンもかけつけます。ダンはチタン合金で作った義足をつけていて、アジアの女性と結婚もして幸せそうでした。

フォレストはダンの足を「魔法の脚だ」といって祝福します。

ジェニーの死期が近づきます。ジェニーはベトナムでのことをフォレストに尋ねます。

フォレストは「ベトナムの美しい星空、山や湖」のことを話します。ジェニーが「一緒に見たかった」と残念そうに言うと、フォレストは「いつも一緒だった」と言います。

ジェニーは土曜の朝に死にました。小さなころ二人で上った木の下にジェニーの亡骸を埋めます。フォレストは悲しみに耐えて、息子の子育てをがんばっていることを墓前に報告します。

フォレストは、人生には定めがあるのか、ただ風に乗って彷徨さまよっているのか分からないけれど、多分、その両方なのだろう。両方が同時に起こっていると思います。

アメリカの1950~1980年代の歴史を時系列で見れるユニークさ。

特殊効果を駆使して、年代史に織り交ぜながら物語が展開します。登場する出来事を並べると、

ネイサン・ベッドフォード・フォレスト(生誕1821年7月13日/死没1877年10月29日<56歳没>)

南北戦争での南軍の中将、戦後は、秘密結社KKK(クー・クラックス・クラン)の創始者。KKKは白人至上主義の団体で北方人種を至上として黒人やアジア、ヒスパニックの市民権に異を唱えます

エルヴィス・プレスリー(生誕1935年1月8日/死没1977年8月16日<42歳没>)

世界史上最も売れたソロアーティスト、キングオブロックンロールと称された。1950年代には若者をロックンロールによって熱狂させた。下半身を動かす歌い方は若者の人気を得ます

ジョン・F・ケネディ(生誕1917年5月9日/死没1963年11月22日<46歳没>)

第35代アメリカ合衆国大統領。1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺。民主党候補として1961年に大統領就任。合衆国歴史上、最も若い大統領。在任中は、キューバ危機やベトナム情勢が悪化した。

ロバート・ケネディ(生誕1925年11月20日/死没1968年6月6日<42歳没>)

兄の任命により同政権の司法長官を務めた。1963年に兄が暗殺された後、上院議員になり68年に民主党の大統領候補指名選のキャンペーン中にアンバサダーホテルで暗殺される。

ブラックパンサー党

1960年代後半から1970年代にかけてアメリカで黒人民族主義運動・黒人解放闘争を展開していた急進的な政治組織。共産主義と民族主義を標榜し革命による黒人解放を提唱し武装蜂起を呼びかけた。

リンドン・ジョンソン(生誕1908年8月27日/死没1973年1月22日<64歳没>)

第36代アメリカ合衆国大統領。大きな政府による社会福祉や教育制度改革、人権擁護を推進。ベトナム戦争への軍事介入を拡大させ、国内に激しい反戦運動と世論の分裂をもたらした。

アポロ月面着陸

人類史上初の月面着陸はアポロ11号計画におけるアームストロングとエドウィン・オルドリンにより1969年7月20日午後4時17分に月面に着陸し21時間30分滞在した。

ピンポン外交

1971年の日本で行われた第31回世界卓球選手権に中華人民共和国が6年ぶりに参加し、その後、中国がアメリカなど欧米選手を自国に招き米中間を中心に一連の外交が行われた。

ウォーターゲート事件

1972年にワシントンD.C.の民主党本部があるウォーターゲートビルで起きた盗聴侵入事件でニクソン共和党政権が関与したとして辞任に追い込まれる。

ジョン・レノンの暗殺

ビートルズのリーダー、ジョン・レノンは音楽活動、政治活動、平和主義活動で世界的な名声を得ていたが1980年12月8日ニューヨークで狂信的なファンによりダコタハウスにて殺害される。

レーガン大統領暗殺未遂事件

1981年3月30日、アメリカのワシントンD.C.で第40代アメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガンが狙撃された事件。犯人は大学生で映画「タクシードライバー」を見て犯行に及ぶ、弾はレーガンの左胸部に命中した。

上記のオリジナル映像とフォレストの合成がうまくできていて楽しめる。

人生はチョコレートの箱みたい、食べるまで中身は分からない。

ハンディに屈せずに生きるフォレストの強運の人生は、早いテンポで小気味よく展開していきます。

今を懸命に生きることで、一期一会がめぐり明日が拓けて、未来が素晴らしいものになっていく、ほほえましく心安らぎ勇気づけられます。

それは怜悧な人間のように色メガネや損得でモノを見ないことであり、フォレストが知能指数と両脚の矯正器具というハンディを背負った人生だった故に、バッバの肌の色の違いや、ダンが両脚を失くしても敬意は変わらず、アジアの女性であっても気にならない。

だからことさらにフォレストは反政府や人種差別を声高に叫ぶ理由を持たない。

人を大切に思い、受け入れて、そして精いっぱい努力をして、試練を乗り越えていく。

その誠実さはジェニーへの想いに一貫して現れます。フォレストは生涯に亘りジェニーを想い続けます。

そしてママの存在はフォレストの生き方そのもとになっています。普通の学校に入りいじめにあいますが、矯正器具のおかげで、歩く努力、走る勇気が魔法のように肉体的なハンディを超えて、俊足が人生を変えます。

ママの教えである

“バカなことをする人がバカなのよ” は、フォレストにとって、いじめや差別に対してくじけない強い心を植え付けてくれました。

“必要以上のお金は、見栄のためにある”は、エビ採集と投資で儲けたお金をバッバの家族と慈善団体に寄付することになります。

“過去は捨ててから前へ進みなさい”は、まさに一期一会、出会いを大切にしながら誠意を尽くした後は、振り返らず前へ前へ進むことの大切さを教えてくれました。

“死を怖がらないで。生の一部なんだから”は、生きて死ぬことの当然のことに動じないこと、そしてその連続の中で、人は心の中に生き続けることを教わります。

一期一会でひとつひとつの運命が展開します。そして、ついに子供を授かり、不治の病に侵されたジェニーを看取って、シングルファーザーとして育てていく決意をします。

それはフォレストのママがシングルマザーとしてフォレストを育ててくれたことと同じように、できうる限りのことを精一杯努力しながら生きていく誓いでもあります。