映画『アメリカン・グラフィティ』あらすじと解説/ここが見どころ!

解説>ヴィンテージカーが町を遊弋し、ごきげんな50’sが気分をハイにしてくれる。アメリカの小さな町の一夜限りの煌めきを巨匠ジョージ・ルーカスが自身の思い出のなかに描いた青春の落書き。色褪せることのない、古き良きアメリカが、ここにある。

登場人物

カート・ヘンダーソン (リチャード・ドレイファス)
学業優秀で東部の大学に進学する予定だが、町を愛していて離れることに逡巡する。
スティーヴ・ボランダー (ロン・ハワード)
東部の大学への進学を決めているが、恋人ローリーと最後の夜に喧嘩をしてしまう。
ジョン・ミルナー (ポール・ル・マット)
町に残る年上の人気者だが、一人取り残されていく孤独感に感傷的になっている。
テリー・フィールズ (チャールズ・マーティン・スミス)
スティーヴから留守中の車の管理を任され、有頂天になり恋人をハンティングする。
ローリー・ヘンダーソン (シンディ・ウィリアムズ)
カートの妹でスティーヴと付き合っているが、離れ離れになることに耐えられない。
デビー・ダンハム(キャンディ・クラーク)
テリーにガールハントされたすれっからしだが、キュートで優しく思いやるがある。
キャロル・モリソン(マッケンジー・フィリップス)
ジョンの車に乗り込むが、あまりの子供っぽさに厄介者扱いされて相手にされない。
ボブ・ファルファ(ハリソン・フォード)
55年型のシボレーを駆り、傷心のローリーを乗せたままジョンとカーレースを行う。
ジョー(ボー・ホプキンス)
不良グループのファラオ団の団長で、カートを仲間にしてつぎつぎに悪事を働く。
ウルフマン・ジャック(ウルフマン・ジャック)
名物DJで独特の喋りとの音楽を流し、カートへ教訓を授け願いをかなえてくれる。

あらすじ(ネタバレあり)

どこにでもある、アメリカの小さな町での出来事。ハイスクールを卒業した仲間たちは、それぞれの進路につく。そのなかでも東部の大学に旅立つ予定の成績優秀なカートとスティーヴを軸に、彼らを取り巻く気の置けない仲間たちとの高校時代最後の夜から朝までのワンナイトのひとときをグラフィティ(落書き)として描写する。

それは、監督ジョージ・ルーカスの青年期でもあり、古き良きアメリカの青春群像でもある。

故郷を後に、東部の大学に学び大きな夢を実現しようとする者、田舎に残り、かけがえのない友情や愛を守ろうとする者、故郷に暮らし続けるが、廃れていく町をただ孤独に見つめる者と、各人各様の心模様の中で、かけがえのない一夜が始まり、そして終わり、朝が来て、旅立ちの時がくる。

高校生活最後の夜を楽しもうと卒業したスティーヴは、いつもの「メルス・ドライブイン」で仲間たちを待っている。

そこへベスパを危なっかしく運転しながら一学年年下のテリーがやってきた。同じく卒業生のカートがポンコツのワーゲンで合流する。成績優秀なスティーヴとカートだが、少し様子がおかしい。最も優秀な学生として奨学金を受給されたカートは東部の大学に進学するのを悩んでいる。

スティーヴは、改造車のクーペを転がしながら遅れて到着した、既に卒業している年上格のジョンを見ながら「永遠の17歳でいるつもりか」と、決心のつかないカートをなじる。ローリーもやってくる、スティーヴはカートの妹のローリーと付き合っている。

スティーヴは、ローリーに別れを告げようとする。これからも思い続けるが、今後、お互いを干渉はしないというスティーヴ、離れ離れになることを受け止めることができないローリー。自分の車を持っていないテリーは、スティーヴから留守の間、愛車の327シボレーを預かってくれるようにキーを渡されて、有頂天になる。

卒業記念のプラムに向かうスティーヴ、ローリー、カート。ジョンは、町に暮らし続けている同じ学校の卒業生としてさびれて変わっていく景色に一人、物言えぬ寂しさと孤独感でカートにあたるが、すぐに二人は仲直りする。

そんなセンチメンタルなワンナイトが始まろうとしている。町にはたくさんのヴィンテージカーが集い競い合い、滑走する。男も女も一夜のハンティングを楽しみに町を遊弋する。50‘sのメロディが、せつなくもごきげんに町を奏でて行く。

白のサンダーバードの乗ったブロンドの女性が、スティーヴとローリー、カートの乗る車の横に並ぶ。なぜか女性は、「アイ・ラブ・ユー」とカートに向かって唇を動かす。「何て言ったの?」と美女の瞳に問いかけるカートだが、サンダーバードはそのまま道を横切り消えて行ってしまう。

「幻の美女を見た、追いかけろ」と興奮するカートに、スティーヴとローリーは無視して、最後の夜のデートを過ごしている。

素敵な女性をガールハントしようとするジョンの愛車に、女性グループの車から、最も幼いキャロルが乗り込んできた。あまりの年の差で全く話が噛み合わない中で、車から降ろそうとするジョンと、大人びた振る舞いの子供のキャロル。しかし悪口を言われた相手の車をキャロルがスプレーづけにする、ジョンも素早く車のタイヤを外すカットは、大きなサーチライトの光に浮かび上がるイキイキとした二人が表情が輝くこの映画の最も美しいシーンのひとつでもある。

卒業プラムは、賑やかに繰り広げられるが、ローリーはスティーヴとのダンスを拒む。それでも前生徒会長のスティーヴと、現チアリーダーのローリーは喝采を浴びながらステージの中央へ向かう。作り笑顔でダンスをしながら傷心に沈むローリーは、涙を流さぬように歯を食いしばる。“煙が目に染みる”のプラターズの歌声が蒼い照明にとけていく。こぼれだす涙が止まらない。会場を出て思い出づくりのために川辺に車を走らせ、何とか思いとどまるように願うローリーに、スティーヴは下品な言葉を放ち、車から追い出されてしまう。

町では55年型のシボレーに乗ったボブが、カーレースをしようとジョンを挑発する。レースで無敵のジョンは、ボブに煽られながらも相手にせずキャロルの子供っぽい話に手を焼いている。信号待ちの発進で挑まれたジョンは、お互いの腕試しをする。

テリーは、キュートな女の娘、デビーのガールハントに成功する、経験豊富で、すねっからしのデビーに振り回されながらも楽しく過ごす。雑貨店で未成年ながら泥棒と知らずに頼んでオールドハーパーを手に入れるシーンは微笑ましい。なんとか川辺までデートに漕ぎつけるが、そこで車を盗まれてしまう。そして偶然に、テリーはスティーヴと合流する。

カートは、東部の大学へ行くのを止めようかと先生に相談する。先生からは「楽しむべきだ」と言われるが、決心がつかない。町に出てサンバーバードの金髪の女性を探し続けるなかで、ふとしたことでファラオ団と行動を共にすることになる。

ファラオ団は不良グループだが、評判の秀才のカートの腐れ縁の友人だとして、ピンボール場での集金荒らしもうまくいき、カートは逆に一目置かれてしまう。ファラオの団長はサンダーバードの金髪の女性は高級コールガールと言うが、カートは信じない。

ファラオ団の次の命令は、中古車置き場で警備するパトカーにひと泡吹かせるべく、ワイヤーをうまく仕掛けることだが、カートはこれも首尾よく成功をする。カートはファラオ団に迎い入れられることを約束されて自由の身に開放される。

自暴自棄になったローリーは、自らすすんでボブの車に乗り込む。スティーヴはローリーを失って、東部へ行くことが正しい選択ではないことをカートに伝える。

テリーは悪酔いで嘔吐の中、盗まれた車を見つける。ジョンのおかけで、テリーは車を取り返すことができた。たいへんな一夜だったが、デビーもテリーとの一日を楽しく喜んでくれ、電話番号を教えてくれた。

カートは、幻のサンダーバードの女性を探すためにウルフマンのラジオ局を訊ね、呼びかけてもらおうとする。そこにいたDJは頼まれてテープを流しているだけで、彼の居場所は誰も知らないという。悩むカートに、DJから「尻を上げろ!」と忠告される。観念したカートは帰ろうとするが、窓越しの彼こそがウルフマン・ジャックであることを知る。

夜明け前、ボブとジョンがカーレースのためにパラダイスロードに向かう。ボブの隣にはローリーが同乗し、スティーヴも心配して向かう。テリーはスタートの合図の役目を買って出た。

いよいよボブとジョンのレースが始まる。アクセルを吹かしながら猛スピードで一直線に夜明けのパラダイスロードを走る。臆病者が負けるチキンレース、ボブはジョンより鼻先を走るが、一瞬、ハンドルをとられ土手に落ちて勝負に破れる。「自分は負けた」というジョンに、テリーは「きみが一番だ」と強く主張する。

横転した車から体を痛めて這い出てくるローリーに駆け寄るスティーヴ、はじめて大切なことに本心から気づく、二人は互いに抱きしめ合う、スティーヴは「ローリーを離さない」と誓う。

ウルフマン・ジャックはカートの願いを聞き、サンダーバードの女性へカートの伝言をラジオから届ける。約束の公衆電話で居眠りするカートに電話がかかってくる。プラターズの歌う“オンリー・ユー”が聞こえながら、佇む公衆電話のベルが鳴り、憧れの女性の声がカートに囁く。

サンダーバードの女性は「今夜、会いましょう」と優しくカートに語りかける。しかし、カートは今朝には東部へ出発する、会うことはできない。と同時に、彼女の声を聞くことができたことで、新しい世界に旅立つ強い決心を固めた瞬間でもあった。

夜が明ける、東部の大学へ向かう飛行機に乗り込むのはカート一人だった。彼を見送る仲間たち。大いなる夢に向けて旅立つ友へ、昔からの友は変わりなく、それぞれが心から別れの言葉を交わす。

機上の人となったカートはふと下を眺める。そこには白いサンダーバードが、まるでカートの旅立ちを見送るように一直線の道を走っていく。

青春を過ごした四人の仲間たちのその後がエピローグとして描かれる。

ビッグ・ジョン・ミルナーは1964年12月、酔っ払い運転の車との事故により死亡。

テリー・フィールズは1965年12月、ベトナム戦争におけるアン・ロク付近の戦闘中に行方不明。

スティーヴ・ボランダーは現在カリフォルニア州モデストで保険会社の外交員をつとめている。

カート・ヘンダーソンは作家となって現在はカナダに住んでいる。

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